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「渋めのダージリンはいかが」へようこそ

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生物学茶話PDF版 こちら4  こちら5
(PDF版には、はしがき、ページ付きもくじ、巻末索引がついています)

すべてフリーですので、ごゆっくりどうぞ 

「生物学茶話:@渋めのダージリンはいかが」の紙本は九州大学理系図書館、京都大学理学部図書館、島根大学附属図書館、東京大学理学図書館、東京工業大学大岡山図書館、北海道大学理学部図書室、杏林大学医学部図書館、電子書籍としては国立国会図書館に収蔵されています。

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2022年7月30日 (土)

サラの考察11: 検査難民

サラ「どうやら人間は新型コロナウィルスに完敗しそうだね」

私「残念ながら」

サラ「人間はもう少し頭がいいとおもったのだけど、どうしたのかな?」

私「腕組んで話すとは、お前も考察が板についてきたのかな。それはそうと、2日続けてPCR陰性だと4日目には出勤できるなんて制度にしたら、みんなPCR検査に殺到するのは目に見えているのに、政治家はそんなことにも気がつかないんだからね」

グレチコ「そう、これは政治家が勝手に決めたと思うね。厚労省の官僚や、医師のアドバイザリーボードに相談していれば、こんなことにはならなかっただろう。彼らはどのくらいの検査が可能かは知っているから」

サラ「もう打つ手はないのかな?」

グレチコ「ワクチンワクチンと馬鹿の一つ覚えだが、そろそろ危ないね。5回も射つと、だんだん体がスパイクタンパク質を異物と認識しなくなってくる人がでてきそうだ。なにしろmRNAなんだから、抗原の量はコントロールできていないというのが大問題。花粉症の場合などは花粉を認識しなくなれば万々歳なんだけど、ウィルスを認識できなくなるとイチコロになってしまう」

私「吉村知事の老人は出歩くなというのもおかしな話。最初の頃は老人のカラオケがクラスターになることもあったけど、今老人関係でクラスターになっているのは介護施設だからね。職員から感染させられているのが真相。あとは家で家族に移されるという経路が主流だね。吉村はそんなことは知っているにもかかわらず、何もやっていないという批判をかわすためにこんなことを思いついたに違いないね」

サラ「思いつきでやってしまってコケるというのは、猫でもレベル低いよ」

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2022年7月29日 (金)

アンドレ・ジョリヴェの音楽 シュテファン・シーリと彼のお友達による演奏

アンドレ・ジョリヴェ(1905-1974) は生きている頃はフランス音楽界の重鎮であり日本でも有名で、多分演奏会でも取り上げられることが多かったと思われますが、現在は演奏機会が少なくなりました。

私は現音はたいてい理解できないのですが、ジョリヴェは私が理解できる数少ない作曲家のひとりです。シュテファン・シーリ氏はオーボエとコーラングレの演奏家ですが、今回ジョリヴェの作品を取り上げ、人を集めて室内楽のアルバムを作りました。コーラングレは私が一番好きな楽器でもあり聴いてみました。

「典礼組曲」(Suite liturgique pour voix, cor anglais prenantle haubois, violoncelle et harpe) はソプラノが歌う宗教音楽ですが、ジョリヴェの音楽の心地よさをたっぷりと体験できます。特にマニフィカートは美しい音楽です。

Suite liturgique: IV. Magnificat
https://www.youtube.com/watch?v=x6SalJdL1xM

小品ですが「オリノコ川の丸木舟を操る人の歌」もいいですね。ピアノが川の流れで、オーボエが船を操る人です。船を操るのは毎日のルーティンでもあり人生でもあります。途中で一休みしてまたこぎ出し、最後は静かに消えていきます。不完全な収録のうえに演奏が?ですがYouTubeにもありました。

Canto del Piraguero del Orinoco, Andre Jolivet
https://www.youtube.com/watch?v=ELe0ZD4bGXI
https://www.youtube.com/watch?v=Bb4LMjwc1lI

セレナーデなど他の収録曲も名曲ぞろいです

Serenade for oboe and piano. I. Cantilene
https://www.youtube.com/watch?v=X72xuaLSJKI

 

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2022年7月26日 (火)

続・生物学茶話184: 頭索動物の脊索

ヒトの脳はかなり特殊で、チンパンジーと比べても、進化のスケールで言えば極めて短い期間に激しく変化した(巨大化した)といえます(1)。そんな特殊化した脳への関心はもちろんありますが、その前に脊椎動物一般の中枢神経系の発生様式や特徴について考えておくのは王道でしょう。

まずヒト胎児の脳の模式図を見てみましょう(2、図184-1)。3~4週の胎児の場合脳は三つの膨らみからなり、前(rostral)から順に前脳胞・中脳胞・菱脳胞という名前がつけられています。5週には前脳胞から終脳胞と間脳胞が分化し、菱脳胞から後脳胞と髄脳胞が分化します。その後、終脳胞は大脳となり、間脳胞は眼と視床、後脳胞は脳橋と小脳、髄脳胞は延髄に分化します(図184-1)。

図184-1 ヒト胎児の脳形成

次に脊椎動物のなかでも進化上基底的な位置にある魚類についてみてみましょう(3、図184-2)。図184-2で、T+D:前脳胞・MB:中脳胞・HB:菱脳胞と考えると、基本はヒトと変わらないように見えます。前脳胞が終脳胞と間脳胞に分かれていくのもヒトと同じです。ひとつ異なるのは、魚類では中脳胞が視覚情報を処理する部位として分化していくのに対して、ヒトなどの哺乳類は視覚情報処理は主に前脳胞から分化する大脳が行ない、中脳は中継点となっているという点です(4)。文献3の著者たちは終脳の背側を除いて脊椎動物の脳はよく似ていると述べています。終脳の背側は哺乳類が特別に進化させました(5)。

図184-2 ゼブラフィッシュ脳の発育

生物の進化に関して、大野乾(おおのすすむ)は全ゲノム重複という全遺伝子の倍化によって進化が劇的に進行するという説を発表しました(6)。この学説はその後さまざまな生物で遺伝子構造が解明されるにつれて信憑性が高まり、現在では定説となりました(7-9)。図184-3のように、脊椎動物は硬骨魚類が生まれるまでに3回の遺伝子重複を経験したと考えられています。1回目(1R)で広義の魚類が生まれ、2回目(2R)で有顎魚類が生まれ、3回目(3R)で条鰭類が生まれました。フナや金魚は4回目の遺伝子重複を経験したともされています(10)。

このような遺伝子重複による進化から取り残されたグループとして、尾索動物と頭索動物があります(図184-3)。尾索動物は幼生期には脊索動物としての特徴を保っていますが、成体になると中枢神経系を発達させないとか、泳がないとか、本来の脊索動物としての特徴を消失し、全く別方向への進化へと舵を切りました。頭索動物(ナメクジウオ)は尾索動物に比べると保守的で、ピカイヤのようなカンブリア時代の頭索動物と大差ないような形態を保存していて、古い時代のゲノムがかなり保存されていると考えられます。

図184-3 脊索動物が進化する過程で発生した3度の遺伝子重複

図184-4は科学雑誌の表紙になったナメクジウオの上半身です。ナメクジウオは普通のガラス水槽で飼っても生きているそうですが、砂を入れるとたちまち潜り込むそうで、通常は砂の中で生活していて餌(珪藻)を食べるときに上半身を出して口から餌を吸い込むようです。好きな種類の珪藻を選り好んで食べるようです(11)。

ナメクジウオはホヤのような固着生活をするのではなく泳げるのですが、それでもカンブリア紀のピカイアのように泳ぎながら採餌するわけではありません。ですからカンブリア紀の頭索動物のままのゲノムや生態が保存されているのではなく、砂の中に隠れるという術を獲得したことによって捕食を逃れ現代まで生き延びたグループの子孫です。

カンブリア紀にはすでに脊椎動物と思われるミロクンミンギア(ハイコウイクティス)が生きていたので、ナメクジウオがそのまま脊椎動物の祖先というわけではありません。ただミロクンミンギアもピカイアも絶滅した動物なので、魚類と頭索類の共通祖先に近く、遺伝子重複も経験していないナメクジウオは貴重な研究材料です。

図184-4 科学雑誌の表紙に採用されたナメクジウオ

リンダ・ホランドらは FoxD という転写因子に注目しました(12-14)。この因子はナメクジウオでは脊索・前脳胞・体節中胚葉に発現します(図184-5)。普通遺伝子重複が起こると同じ遺伝子が複数になるので、過剰となった遺伝子はしばらくすると変異を重ねて無意味なシーケンスになると思われるのですが、この FoxD はなんと4つの重複遺伝子すべてが生き残り、しかも突然変異によってその数が増えて、脊椎動物では5種類になりました(図184-5)。そして脊索、前脳胞、体節中胚葉でそれぞれ別のパターンで発現し、さらにナメクジウオにはない神経堤で FoxD3 が発現しているという大変興味深い実験結果が得られています(12-14、図184-5)。

神経堤は頭蓋骨・眼・歯・心臓・色素細胞・神経細胞・シュワン細胞などを形成する細胞を製造するという発生途上に出現する大事な場所で、頭索動物には存在せず、脊椎動物に存在します。頭索動物と類似した祖先生物から脊椎動物が分岐する上でのエポックメーキングなキーといえます(14)。

図184-5 脊椎動物と頭索動物におけるFoxD発現の比較

フェランらは脊椎動物では頭部に脊索がなく、頭索動物では逆に頭部より前まで脊索があることに着目し、脊索およびその延長線上で発現する分化誘導因子を調べました(15)。脊椎動物の場合、脊索が頭部まで伸びていない代わりにプレコーダルプレートがあり、さらにその前部にはプレコ-ダル細胞があります(図184-6)。これらの部分では脊索でつくられるブラキウリやNogは合成されませんが、FoxA2やShhは脊索同様につくられます。このプレコ-ダル領域に特異的に発現する Six3 という因子もあります(図184-6)。

そして驚くべきことに、この Six3 と同様な因子が頭索動物の脊索前端部でつくられているのです(Six3/Six6 図184-6)。ただし前端部でもブラキウリが合成されていたり、Shhが合成されていなかったりという脊椎動物との違いもあります。ひとつの臓器のようにみえる脊索が部域によって異なる働きをしていることを示唆する研究結果です(15)。

確かに頭索動物の神経策は頭部の膨らみが小さく、見た目脳の部分がないように見えますが、実際には脊椎動物の脳のプロトタイプが存在するということが認められるようになってきました(16)。

図184-6 脊椎動物と頭索動物の脊索およびその関連組織における遺伝子発現の比較

ナメクジウオ(頭索動物)で脊索の前端部が頭部より前まで出ているということは、脊椎動物との共通祖先の時代にはより立派な脳があったのに、半固着生活をするようになってから脳が退化して小さくなってしまったからということは当然考えられますが、さてどうなのでしょう。

参照

1)京都大学広報資料 世界で初めてチンパンジー胎児の脳成長が明らかに:ヒトの脳の巨大化はすでに胎児期からスタート
https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/archive/prev/news_data/h/h1/news6/2012/120925_1

2)Wikimedia commons: File:1302 Brain Vesicle DevN.jpg
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:1302_Brain_Vesicle_DevN.jpg

3)Martin Sebastijan Sestak and Tomislav Domazet-Loso, Phylostratigraphic Profiles in Zebrafish Uncover Chordate Origins of the Vertebrate Brain., Mol. Biol. Evol. vol.32(2): pp.299–312 (2014) doi:10.1093/molbev/msu319
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4298178/

4)脳科学辞典:中脳
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E4%B8%AD%E8%84%B3

5)脳科学辞典:終脳
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E7%B5%82%E8%84%B3

6)Susumu Ohno “Evolution by Gene Duplication”Springer (1970)
https://link.springer.com/book/10.1007/978-3-642-86659-3

7)P W Holland, J Garcia-Fernàndez, N A Williams, A Sidow, Gene duplications and the origins of vertebrate development., Dev Suppl.(1994) pp.125-133. PMID: 7579513.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/7579513/

8)Oleg Simakov et al., Deeply conserved synteny resolves early events in vertebrate evolution., Nat Ecol Evol vol.4, pp.820–830 (2020). https://doi.org/10.1038/s41559-020-1156-z
https://www.nature.com/articles/s41559-020-1156-z

9)沖縄科学技術大学院大学 公開資料 古生代における種間交雑:脊椎動物における全ゲノム重複の真実が明らかに (2020)
https://www.oist.jp/ja/news-center/press-releases/35053

10)Science Portal: キンギョの祖先は1400万年前に遺伝子が倍になり進化の原動力になった 阪大グループがゲノム解読 (2019)
https://scienceportal.jst.go.jp/newsflash/20190628_01/

11)小林真吾・村上明男 ナメクジウオの長期飼育及び生体展示に関する技術報告
愛媛県総合科学博物館研究報告,No.11,pp.77-84(2006)
file:///C:/Users/Owner/Downloads/kagaku12.pdf

12)Yu JK, Holland ND, Holland LZ. 2002 An amphioxus
winged helix/forkhead gene, AmphiFoxD: insights
into vertebrate neural crest evolution. Dev. Dyn.
225, 289–297. (doi:10.1002/dvdy.10173)

13)Yu JK, Holland ND, Holland LZ. 2004 Tissue-specific
expression of FoxD reporter constructs in amphioxus
embryos. Dev. Biol. 274, 452 –461. (doi:10.1016/j.
ydbio.2004.07.010)

14)Linda Z. Holland, The origin and evolution of chordate nervous systems., Phil.Trans.R.Soc.B370:20150048. (2015)
http://dx.doi.org/10.1098/rstb.2015.0048

15)José Luis Ferran, Manuel Irimia, Luis Puelles, Is There a Prechordal Region and an Acroterminal Domain in Amphioxus ? Brain Behav Evol vol.96: pp.334–352 (2021) DOI: 10.1159/000521966
https://www.karger.com/Article/FullText/521966

16) Beatriz Albuixech-Crespo, Laura López-Blanch,Demian Burguera et al., Molecular regionalization of the developing amphioxus neural tube challengesmajor partitions of the vertebrate brain.  PLoS Biol. vol.15(4): e2001573. (2017) http: //dx.doi.org/10.1371/journal.pbio.2001573
https://journals.plos.org/plosbiology/article?id=10.1371/journal.pbio.2001573

 

 

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2022年7月24日 (日)

アラン・ギルバート-都響 モーツァルト3大交響曲@池袋芸術劇場2022/07/24

炎天下ですが意外に風が熱くないので、すぐに汗だくにはならないのが助かります。サラは置いてけぼりですが、エアコンつけっぱなしにしておいたので、まあ大丈夫でしょう。

東京はコロナ爆発など誰も気にしてない感じで、池袋の地下道も人でいっぱいです。芸術劇場も1Fはほぼ満席。私がいた2Fはまあまあの入りでした。私は電車や雑踏では、100円の水ボトルを買ってときどき喉のウィルスを水で胃に流し込むという防疫法をやっています。

今日はモーツァルトということで、都響としては珍しい小さな編成でステージが広く見えます。しかもVn1&2が対向配置で指揮台もありません。アランは指揮棒も持たず、指揮者と言うより、むしろパントマイムをやっている感じです。本日のコンマスはボス矢部、サイドは四方さんです。

都響は爽やかで品がよい音を出すのは苦手で、それをやろうとするとわざとらしい感じになります。なので39番は何かいまいちの感じでしたが、40番になると一気に本領発揮で、この曲が持っている雰囲気をうまく表現できていたと思います。聴いていてすっかり引き込まれました。41番は指揮者のやりたいことがズバズバ決まっている感じで、これもなかなか楽しめました。ただティンパニの真紅のマレットは気になりましたね。

帰宅すると、サラがエアコンつけてない部屋から出てきました。やれやれ。

 

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2022年7月22日 (金)

都響のラジオ体操第一

ラジオ体操第1 都響の演奏
https://www.youtube.com/watch?v=az_109-rMAo

<図解>ラジオ体操第一・立位
https://www.jp-life.japanpost.jp/radio/instruction/radio_first.html

指揮者 和田一樹 この人だけが笑いをこらえてやっていますが、オケメンは皆さんいたってまじめ。素晴らしい音楽です。柳原氏・鷹栖氏・南方氏らはちゃんと指揮者を見ながら演奏しているのがすごい。こんなところでも性格は出ます。ちなみに古川氏はよそ見しながら弾いているように見えます。長氏はイケメンらしく、チラッとカメラ目線になるときがあります。ラジオ体操する人も指揮者に合わせてやりたいのですが、映っているのは演奏者なんだよね。

 

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2022年7月21日 (木)

My favorites 10: セミヨン・ビチュコフのボックス

どんな指揮者が優れた指揮者かというのはいろいろ議論があるところだと思いますが、実演ではやはりオケメンをやる気にさせる能力でしょう。レコーディングではあまり指揮者の恣意を感じさせずに、曲に浸れる自然な流れをつくることができる人を好ましく思います

セミヨン・ビチュコフ(ビシュコフ、ビチョコフなどとも)はまさしくそういう能力を持った指揮者で、かつ細部にまで血液が生き生きと脈動している演奏で安心して聴けます。このボックスセットは2016年に出版されたものですが、そろそろ商品の数が減って買いにくくなりつつあるようです。ブラームスやベートーヴェンの交響曲ははいっていなくて、写真のようなロシアとフランスの代表的な交響曲や管弦楽曲を中心に、パリ管弦楽団やベルリンフィルなどと収録しています。

奥様がマリエル・ラベックというラベック姉妹で活動するピアニストなので、ピアノ2台とオーケストラのためのめったに演奏されない作品が4曲も収録されています。契約の関係か彼が長く指揮者を務めたケルンWDR交響楽団との演奏は収録されていません。WDRと制作したボックスセットはオペラを中心とした特殊なものです。ただYouTubeには多くの映像付きの演奏が残されています。

彼は現在はチェコ・フィルハーモニー管弦楽団の音楽監督を務めていますが、そちらはそろそろ若手のチェコ人にまかせて、最後は都響に来てくれないかなあ・・・とかすかな期待を抱いています。

ショスタコーヴィチ:交響曲第5番 ニ短調
https://www.youtube.com/watch?v=YWwssdM6BVY

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2022年7月16日 (土)

続・生物学茶話183: 脊索の出自と役割り

私たち人類は分類学上は脊索動物門というグループに所属していて、頭索動物(ナメクジウオ)・尾索動物(ホヤ)・脊椎動物(魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類など)という亜門がその下に置かれています。人類はもちろん脊椎動物亜門に所属しています。脊索動物は形態学的には、一生あるいは発生のある時期に脊索(ノトコード)を持つことが特徴とされています。しかし近年この構造はウルバイラテリア(始原的左右相称動物)の時代から存在し、それが形を変えて様々な左右相称動物に残っているという見方も有力になりつつあります(1、2)。

脊索についての研究はそこそこ多いのですが、その発生のプロセスについては意外に研究が少ないのは不思議です。ジュランは光学顕微鏡を用いたマウス胚の形態観察によって、将来脊索に分化する細胞群がまず胎生8日目に腹側の内胚葉上皮に現れ、これが10.5日目に体内に陥入して脊索を構成することを1974年に報告しましたが(3)、これが最初の報告のようです。20年後にスリクらはSEMを用いた詳細な研究によって、ほぼジュランの記載が正しいことを再確認しました(4)。

脊索の原基(中胚葉と言われていた)がまず内胚葉または内胚葉上皮と接続した組織として出現するというのは、ちょっとした驚きだったでしょう。この原基を構成する細胞は元はといえばノード(ヘンゼン結節)に由来します。つまり背側から腹側まで移動し、いったん間葉→上皮転換をおこなって内胚葉上皮の一部となった後に、また背側方向に落ち込んでチューブ状の脊索を形成するというわけです(3-5、図183-1)

図183-1 脊索は内胚葉上皮から形成される

脊索はもともとは左右相称動物が歩行とか遊泳を行うために、左右の筋肉の内端を脊索とくっつけて左右交互に収縮させる目的で存在していた構造だと思われますが(1)、脊椎動物では胚期に前後軸を作って形態形成の座標にすることや、さまざまな臓器の発生分化を調節するためのシグナリングハブとなることを目的としているようです。大人になると椎間板の一部となるため、連続した構造は失われます。

脊索がその本来の役割を果たすためには、体の前後軸の正中に存在しなければいけません。原条は正中位置にありますが、この場所では細胞の動きが激しく、少し離れた位置に居なければまきこまれて体内に陥入してしまいます。それ以外で正中にある構造は消化管だけでしょう。実際脊索原基になるはずの細胞はもともと中胚葉細胞とされていますが、中胚葉で分散して存在していると脊索はできません。脊索の原基を構成する細胞が正中のマーカーとなる消化管に集まるのは必然です。ただこのとき完全な間葉→上皮転換を行って腸管上皮と区別できない組織になるはずはありません。なぜならいずれ消化管の上皮から独立して脊索を形成しなければならないからです。前回「3胚葉説の崩壊」というタイトルで記事を書きましたが、脊索はまさしく独自の運命をたどる例といえるでしょう。

脊索が中枢神経系を誘導することはよく知られていますが、実はこの原稿を書くために調べているうちに、脊索が膵臓を誘導することを知ってびっくりしました。25年くらい前の論文ですが、報告したのはハーバード大学のキムらです(6)。図183-2はその概要で、この図はクリーバーとクリーグの総説(7)の図をもとに作成しました。実際ヒトの場合も先天性背側膵欠損症という病気があるそうです(8、9)。最近この脊索の分化誘導因子がBmpアンタゴニストのひとつnog2だと報告されました(10)。アモリムらによると、側板中胚葉からのBmpの情報を脊索から分泌されたnog2が遮断することによって膵臓が分化するとのことです(10)。

脊索はこのほか内胚葉から形成される様々な臓器、すなわち肺・肝臓・小腸などの発生分化にもかかわっているそうで(7)、これは発生生物学研究のエアーポケットのような領域だと思いました。

図183-2 脊索は膵臓原基を誘導する

脊索による内胚葉性臓器の誘導についてはまだまだ研究は緒に就いたばかりの段階ですが、神経索(Neural tube)の誘導は昔から研究されていて、このブログでも以前に取り上げたことがあります(11)。簡単にまとめれば、Shh(Sonic hedgehog)、Noggin、Chordal、Nosal などのノトコードおよびフロアプレートの因子が、そのままだとBmpの影響で表皮になるはずの外胚葉組織を神経組織に誘導するという話ですが、最近ではさらに詳細な解析が行われ、フロアプレートの主要な因子は Shh とされています(12)。一方ルーフプレート側はBmp、Wnt系の複数因子を使っているようです(12)。

これらの因子の働きにより、神経管の中央部の幹細胞が増殖・分化して、誘導因子の濃度や種類に応じて、背側では少なくとも6種類の細胞群が形成され、それぞれ様々な感覚に対応した感覚神経系や介在神経を構成します(12、図183-3)。一方腹側では運動神経系をつくる細胞群(MN)のほか、4つの調節・介在神経系をつくる細胞群(V0~V3)が形成されます(図183-3)。これらの細胞群が形成されるにはルーフプレート・フロアプレート・脊索由来の因子のほかに、側板中胚葉から放出されるレチノイン酸のアシストも必要なようです(12)。

図183-3 神経索内部の分化

図183-3はアンドリュースらの文献に従ってやや単純化されたメカニズムを表示しましたが、神経管の増殖と分化には上記の Noggin、Chordal、Nosalの関与(11)のほか、FGF系の因子が重要な役割を果たしているという報告もあります(13)。

参照

1)続・生物学茶話165:脊索の起源をめぐって
http://morph.way-nifty.com/grey/2021/11/post-ce318d.html

2)Giovanni Annona, Nicholas D. Holland and Salvatore D'Aniello, Evolution of the notochord., EvoDevo vol.6, 30 (2015) DOI 10.1186/s13227-015-0025-3

3)Jurand A. Some aspects of the development of the notochord in mouse embryos. J.Embryol.Exp.Morphol., vol.32, pp.1-33 (1974)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/4141719/

4)Sulik K, Dehart DB, Iangaki T, Carson JL, Vrablic T, Gesteland K, Schoenwolf GC. Morphogenesis of the murine node and notochordal plate. Dev. Dyn., vol.201, pp.260–278 (1994) DOI: 10.1002/aja.1002010309
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/7881129/

5)Sophie Balmer, Sonja Nowotschin, and Anna-Katerina Hadjantonakis, Notochord Morphogenesis in Mice: Current Understanding & Open Questions., Dev Dyn., vol.245(5): pp.547-557. (2016) doi:10.1002/dvdy.24392

6)Kim, S. K., Hebrok, M., and Melton, D. A., Notochord to endoderm signaling is required for pancreas development. Development vol.124, pp.4243– 4252 (1997)
https://www.semanticscholar.org/paper/Notochord-to-endoderm-signaling-is-required-for-Kim-Hebrok/7539affdf5a1e5126a35e487eef607e191ba4981

7)Ondine Cleaver and Paul A Krieg, Notochord Patterning of the Endoderm., Developmental Biology vol.234, pp.1–12 (2001) doi:10.1006/dbio.2001.021
file:///C:/Users/Owner/Desktop/Notochord%20in%20the%20endoderm.pdf

8)沖裕昌 et al., 先天性背側膵欠損症に合併した膵癌の1例 日本消化器病学会雑誌 第110巻 第6号 (2013)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/nisshoshi/110/6/110_1044/_pdf

9)コトバンク 膵奇形
https://kotobank.jp/word/%E8%86%B5%E5%A5%87%E5%BD%A2-2098627

10)Jo~ao Pedro Amorim et al., A Conserved Notochord Enhancer Controls
Pancreas Development in Vertebrates., Cell Reports vol.32, 107862, (2020)
https://doi.org/10.1016/j.celrep.2020.107862
https://reader.elsevier.com/reader/sd/pii/S2211124720308433?token=351AC88E11645BF6098F95CBEC13F4B94ED924A346F3C1DB3F558C1DF99057E7AD9E412D847D6FA3D67CBE13967C4BC1&originRegion=us-east-1&originCreation=20220712072246

11)続・生物学茶話164:脊索(ノトコード)
http://morph.way-nifty.com/grey/2021/11/post-c842c4.html

12)Madeline G. Andrews, Jennifer Kong, Bennett G. Novitch, Samantha J. Butler, New perspectives on the mechanisms establishing the dorsal­
ventral axis of the spinal cord., Curr Top Dev Biol., vol.132: pp.417–450. (2019) doi:10.1016/bs.ctdb.2018.12.010
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30797516/

13)Ruth Diez del Corral and Aixa V. Morales, The Multiple Roles of FGF Signaling in the Developing Spinal Cord., Front. Cell Dev. Biol. vol.5, 58. (2017) doi: 10.3389/fcell.2017.00058
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fcell2017.00058/full

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2022年7月15日 (金)

サラの考察10: 願い事メーカー2022

私「これはまたサラらしい願い事だね」

サラ「そう?」

私「誰のこと?」

サラ「当ててみれば」

私「まさかあの国葬されようとしている人のこと?」

サラ「ふふ」

願い事メーカー2022
https://irotsuku.com/a/bwxyust8

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2022年7月12日 (火)

これはまずい コロナ再爆発か!?

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陽性率79.8%ということは、風邪の症状が出たらまずコロナってことですね。今年の夏もまた墓参りに行けそうもありません。

 

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2022年7月 9日 (土)

高関-東京シティフィル ブラームス交響曲第3番@ティアラ江東2022/07/09

少し暑さが和らいだ感じの土曜日です。今日は猿江のティアラ江東のマチネにでかけました。住吉駅で降りてA4の出口から道路の向こう側に珈琲館が見えたのではいりました。中はまるで昭和の喫茶店で懐かしい感じです。ホットケーキ(パンケーキ)とか缶詰のチェリーがはいったレモンスカッシュとかがメニューにあります。何よりウェイトレスが注文取りに来るのがいいですね。

ティアラ江東は大盛況で空席はほぼありません。才色兼備の竹山さんのフルートは上品で軽やか。やっぱりフルートはこうじゃなくちゃね。オケはちょっとその品の良さについていけてない感じでしたが、大変楽しめるモーツァルトでした。

メインのブラームスはゆったりとしたテンポで、にもかかわらずのりはいいという演奏。特にヴィオラのパートに今まで感じたことがないような心情のゆらぎを感じさせられて、これは素晴らしいと思いました、マエストロ高関がこの曲「ブラームス交響曲第3番」をとても深く愛しておられることがひしひしと感じられました。オケも真摯にタクトに反応して全力で演奏していると思います。このコンビはきっとこれからも、次々と名演奏を紡ぎ出していくことと思います。

ひとつ注文をつけるならば、やはり管楽器は20cmくらいでも高い位置で演奏してほしいですね。弦楽器奏者に隠れているようなフラットな状態だと、音響的にも好ましくないと思います。このホールはかなり傾斜はあって、私は最後列でかなり高い位置で聴いたのですが、それでも違和感がありました。

 

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2022年7月 8日 (金)

サラの考察9: ウクライナ

私「もうすぐ参議院選挙だね」

サラ「私には関係ないけどね。政治家というのは所詮犬族なのよね。犬族じゃないと政治家を職業にしようなんて思いつくはずもないから」

私「たしかに同胞愛をセールスポイントにしている人は受け入れられやすい、ということはあるね」

サラ「だから私たち猫族はなんとか自分の居場所をみつけて、犬族から隠れて生きていくしかないのよ」

私「プーチンもゼレンスキーも典型的な犬族のようだね」

グレチコ「今回のロシアによるウクライナの侵攻も、その背景はウクライナ政府が義務教育でのロシア語の使用を禁止したことにありそうだね」

私「ドンバスやルガンスクというロシア語を話す住民が多数いるところでロシア語が迫害されるというのは、住民にとっては耐えがたいことだっただろうね」

グレチコ「スターリンの時代にはウクライナ語を禁止していたこともあるので、ウクライナ語派とロシア語派の対立は根深いものがある。クリミア半島はよく軍事拠点として重要だからロシアが占領したと言われているが、実はソ連時代からここはロシアの領土で、なぜかフルシチョフがウクライナに気前よくプレゼントしたという歴史があるんだよ。だからここはロシア語の話者が非常に多い地域であることは知っておく必要があるね。」

ウクライナ政府 義務教育でのロシア語使用を2020年に完全廃止
こちら1

ウクライナ、ロシア語広告禁止 影響力排除狙いか
こちら2

今トロツキーの自伝(トロツキー「わが生涯」岩波文庫)を読んでいます。19世紀末のウクライナの農村の生活が大変詳しく書かれています。その頃からウクライナは小麦・大麦・燕麦などを輸出する世界の穀倉だったようです。

トロツキーはレーニンとともにロシアの10月革命を成し遂げた人物ですが、実はウクライナのど真ん中で生まれ育ったウクライナ人です。彼は人種的にはユダヤ系で父親はユダヤ人居留地に住んでいたそうですが、努力してお金を貯めてロシア人からエリザベートグラード(現キロヴォフラード)近郊の土地を買い、農業経営者として成功しました。そんな父親ですがユダヤ語(イディッシュ)は苦手で、ウクライナ語とロシア語のちゃんぽんで会話していたそうです。トロツキーも小学校はユダヤ系の学校にいれられたのですが、イディッシュがわからずやめています。私の印象ですが、彼は猫族だったように感じます。だからというわけじゃないでしょうが、最後は亡命先のメキシコでスターリンのエージェントに暗殺されました。

どうも言語の違いと人種差別というのは「人間 Homo sapiens という種」のアキレス腱のように思います。この問題を解決しないと、いくら軍拡競争をやっても平和はもたらされません。

写真は私と二人で猫会議中のサラ。

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2022年7月 5日 (火)

続・生物学茶話182: 3胚葉説の崩壊

本題に入る前に2つの因子についての知識が必要です。まずブラキウリ(Brachyury)ですが、これは様々な臓器・器官の発生に関与するTボックスファミリーに属する転写因子の一つで、ウィキペディアによると、これまで調べられたすべての左右相称動物でみつかっているそうです(1、2)。この因子は中胚葉形成に必要であることから、特に脊索動物の gastrulation における中胚葉細胞のマーカーとして用いられます(2)。もうひとつのSOX2はSRYボックス転写因子のひとつで、胚性幹細胞(ES細胞)や胎盤幹細胞(TS細胞)の維持に必須であることが知られていますが、脊索動物の発生の過程で神経前駆細胞のマーカーとしても使われます(3、4)。

これらのマーカーを用いて、ギヨーらはニワトリ胚原条形成期における中胚葉形成細胞と神経幹細胞の追跡を行いました(5、6、図182-1)。ギヨーは最近独立して自分の研究室を動かしているようですが、ウェブサイトの表紙デザインが私のお気に入りです(図182-1)。しかも彼女の研究室のサイトには自分と子供たちの家族写真まで貼ってあります(7)。

まず神経幹細胞のマーカーであるSOX2の発現ですが、原条ができた頃(4HH、18hr)にはエピブラストの前方領域の一部にしかみられなかったのですが、5HHになると胚の前半部全域に広がり、ヘンゼン結節より後部ではダラ下がりとなります(図182-1a)。一方T(ブラキウリ)はヘンゼン結節周辺からはじまって後方にかけて漸増していくような発現パターンになります(図182-1b)。

ここで注目すべきは、ヘンゼン結節周辺から原条の最前部周辺に両マーカーのダブルポジティブな細胞(図182-1で黄色の細胞 一番右側の図ではっきりと見える)がみられることです。これはすでにその存在が指摘されていた Neuro-Mesodermal Progenitors かもしれません(8、9)。

図182-1 SOX2/Tダブルポジティブな細胞

次にこれらダブルポジティブな細胞がどのような運命をたどるかを検証する必要がありますが、この種の研究を進めるために好適なマーカーがあります。それはレトロウィルスの増殖に必要な部分を削除し、GFPの発現に必要なパートと抗生物質抵抗性を発現するパートを組み込んだベクターです(図182-2)。最近の進歩は、これにさらにバーコードシーケンスと呼ばれるひとつひとつのベクターに特異的な配列を組み込んだ製品です。これを使えば、GFPを発現した細胞の遺伝子をPCRで増幅し、細胞をクローンごとに識別することが可能です(10、11、図182-2)。

図182-2 バーコードシーケンスを含むGFP発現ベクター

ギヨーらはステージ5HHでこのレトロウィルスベクターを原条前部周辺の細胞に感染させ、36時間後に神経管と側板中胚葉の細胞をひとつづつ分離してバーコード分析を行いました。このとき第27体節より前と後に分けて分析しました。図182-3は調査した7つのクローンについての結果をテーブルにまとめたものです。この結果4つのクローンが同じバーコードを持つ神経管細胞と中胚葉細胞を含んでいました。これは神経管・中胚葉の両者に実際分化する幹細胞が存在することを示しています。

特に興味深いのはクローン2で、このクローンをつくった幹細胞は囊胚期には分化増殖しないで後部に移動し、そのあと分化増殖して後部のみの神経管と中胚葉の一部を構成したことを示しています。彼女らはレトロウィルスベクターだけでなく、ブレインボウ法(12)でも同様な結果を得て、バイポテントな幹細胞が存在することを確認しています(5、6)。

図182-3 SOX2/Tダブルポジティブ幹細胞の分化

Neuro-Mesodermal Progenitors を様々な方法で追跡していくと、原条(Primitive streak)の縮退に伴って体の後方に移動し、最終的には最後方の尾芽(Tail bud)まで移動することがわかりました(5、6、図182-4)。移動しても神経管と中胚葉を形成する能力は失われず、この場所で体の伸長に伴う脊髄や筋肉などのプロバイダーとして活動します。Neuro-Mesodermal Progenitors は Primitive streak の近傍の細胞であるにもかかわらず溝に落ち込みにくく、その多くが表層で増殖(自己複製を含む)しながら Primitive streak の縮退とともに後部に移動していくというイメージのようです(5、6)。

図182-4 Neuro-Mesodermal Progenitors の移動

ここでは簡単に紹介しましたが、ギヨーらは様々な方法を用いて Neuro-Mesodermal Progenitors の存在とその運命を検証・追跡することに成功しています。これによってツザナクーらが穴を開けた3胚葉説の壁の破壊を、さらにパワフルに進展させました。この考え方が鳥類以外の脊索動物でも正しいと証明できるかどうか興味深いところです。

 

参照

1)HandWiki: Biology: Brachyury
https://handwiki.org/wiki/Biology:Brachyury

2)Sylvain Marcellini, Ulrich Technau, J.C.Smith, Patrick Lemaire, Evolution of Brachyury proteins: identification of a novel regulatory domain conserved within Bilateria., Develop. Biol., vol.260, pp.352-361 (2003)
https://doi.org/10.1016/S0012-1606(03)00244-6
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0012160603002446?via%3Dihub

3)Scott R.HuttonLarysa H.Pevny, SOX2 expression levels distinguish between neural progenitor populations of the developing dorsal telencephalon., Develop. Biol., vol.352, pp.40-47, (2011) https://doi.org/10.1016/j.ydbio.2011.01.015
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S001216061100039X

4)Alejandro Amador-Arjona, Flavio Cimadamore, Chun-Teng Huang, Rebecca Wright, Susan Lewis, Fred H. Gage, and Alexey V. Terskikh, SOX2 primes the epigenetic landscape in neural precursors enabling proper gene activation during hippocampal neurogenesis., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, vol.112, no.15, E1936-E1945,
https://doi.org/10.1073/pnas.1421480112
https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.1421480112

5)Charlene Guillot, Arthur Michaut, Brian Rabe, & Olivier Pourquie, Dynamics of primitive streak regression controls the fate of neuro-mesodermal progenitors in the chicken embryo., bioRxiv (2020),
https://doi.org/10.1101/2020.05.04.077586doi:

6)Charlene Guillot, Yannis Djeffal, Arthur Michaut, Brian Rabe, Olivier Pourquie, Dynamics of primitive streak regression controls the fate of neuromesodermal progenitors in the chicken embryo., eLife 10:e64819, (2021)
DOI: https://doi.org/10.7554/eLife.64819
file:///C:/Users/Owner/Desktop/182/%E2%97%8F%E2%97%8FGiullot%202021%20elife.pdf

7)Guillot Lab
https://scholar.harvard.edu/charlene_guillot/home

8)Elena Tzouanacou, Amelie Wegener, Filip J. Wymeersch, Valerie Wilson and Jean-Francois Nicolas, Redefining the Progression of Lineage Segregations
during Mammalian Embryogenesis by Clonal Analysis., Developmental Cell vol.17, pp.365-376, (2009) DOI 10.1016/j.devcel.2009.08.002
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19758561/

9)Filip J Wymeersch et al., Position-dependent plasticity of distinct progenitor types in the primitive streak.,
Elife. e10042 (2016)
doi: 10.7554/eLife.10042
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26780186/

10)addgene: Retroviral Barcoding Library
https://www.addgene.org/kits/winslow-retroviral-barcoding/#kit-details

11) Grüner BM, Schulze CJ, Yang D, Ogasawara D, Dix MM, Rogers ZN, Chuang CH, McFarland CD, Chiou SH, Brown JM, Cravatt BF, Bogyo M, Winslow MM., An in vivo multiplexed small-molecule screening platform Nat Methods., vol.13, pp.883–889 (2016) doi: 10.1038/nmeth.3992.
https://www.nature.com/articles/nmeth.3992

12)Wikipedia: Brainbow
https://en.wikipedia.org/wiki/Brainbow

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2022年7月 3日 (日)

地熱発電を進めなかったのは政権の大きな失敗

私たちは地球を卵とすると殻に相当する薄い地殻の上に住んでいます。その下の白身や黄身の部分はマグマやマントルという灼熱地獄であり、これを利用できれば人類はエネルギー不足に悩まされることはありません。

まして日本は世界でも有数の火山国。マグマがすぐ地表の近くまで上がってきているので地熱発電には圧倒的に有利な状況にあります。実際20世紀には非常に盛り上がった時期もあったのですが(研究開発もかなり進展しました)、原発に執心する勢力やお手軽な太陽光発電や風力発電が優先され、しょぼくなってしまいました。しかし地熱発電は気象に影響されませんし、スケールも大きいので、やっとこさ少し見直されているようです。日本の上層部でも一部の人々はようやく原発をあきらめたのかもしれません。

今日のサンデーステーションでは火山がほとんどないドイツでも積極的に地熱発電に取り組んでいると報道していて、ちょっと驚きました。

マグマだまりがどこにあるのかをつきとめる、高熱に耐える配管シールドをつかってなるべくマグマだまりの近くに配管を設置する、国立公園内に発電所の設置を認めるなどを行えば、効率の良い発電が行えます。そんなことまでやらなくても、穴を掘れば高温の土にぶつかる場所は北総も含めていくらでもあります。温泉は必要ありません。原発や火力発電所よりずっとメンテが簡単ですし、資源の枯渇はありません、二酸化炭素もだしません、配管はいくらでも増設できます。富士電機など世界を代表するメーカーも存在します。

このブログでも10年以上前から何度も地熱発電の重要性を指摘してきました。もう電気代で生活が危うくなるのは勘弁してほしい。

日本は世界3位の地熱資源大国なのに発電所建設が進まなかった3つの理由
https://diamond.jp/articles/-/200086

地熱発電を支持しよう
http://morph.way-nifty.com/grey/2015/06/post-dbb6.html

マグマ発電の実現は近い
http://morph.way-nifty.com/grey/2012/09/post-95e9.html

期待される地熱発電
http://morph.way-nifty.com/grey/2009/01/post-a251.html

富士電機
https://www.fujielectric.co.jp/products/geothermal_power_generation/

 

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2022年7月 2日 (土)

マケラ-都響 マーラー交響曲第6番@サントリーホール 2022/07/01

最近は夜の公演に出かけると疲労が激しいので、なるべくマチネに行くようにしていますが、マケラがマーラーを振るというのでは出かけざるを得ないでしょう。今年は異常に暑いということで、2時間に1本しかないコミュニティーバスを捕まえて駅まで行きました。それでもさすがに35℃はきつくて、数分しか歩いてないのに汗だくです

ようやくアークヒルズに到着し、以前は2Fにあった蕎麦屋の水内庵(みのちあん)がいったん閉店した後、3Fに再開店していたので行ってみました。2Fにあったときには昔ながらの蕎麦屋って感じだったのですが(都響の団員もよくたむろしていました)、3Fの新店は明るくてモダンな感じに変わっていました。私は親子丼を注文したのですが、鶏肉が少し大きい塊になっていたように感じました。これはどちらかというと好みじゃないんですが、味は相変わらず最高です。

本日のコンミスは四方さん、サイドはボス矢部の豪華版です。コントラバスなどあと5cmで転落しそうなくらい楽器満載のステージ。もちろんハンマーでたたかれる板もあります。

マーラーの交響曲第6番は、今日はアンダンテ→スケルツォの順で、ハンマーは2回でした。マケラの演奏はマーラーの音楽に特有な百鬼夜行、韜晦、気まぐれ、愛と死、天使と悪魔などの雑多な要素を排し、実に若々しくピチピチと音がするような元気百倍のすっきりとした音楽でまとめていました。マーラーはこの曲では特に自分の中の分散しがちな要素を捨てて、ベートーヴェンの運命交響曲のような古典的ルールにきちんとはまった音楽を作りたいと思っていたようなので、マケラのような解釈がかえってはまる感じがしました。

1回目のハンマーは演奏者(エキストラ)が異常に緊張していて心配になりましたが、なんとか無事にお役目を果たしていました。2回目はなんなく完了。都響の皆さんは普段にもまして髪を振り乱して頑張っている印象を受けました。本当に素晴らしい演奏だったと思います。個人的には四方さんのソロがお気に入り。マケラはこれから毎年忙しくなって、都響を振りには来てくれないかもしれませんが、今日の演奏は忘れません。聴衆の皆さんも照明がついた後2度も指揮者をステージに呼び出してスタンディングオベーションで迎えていました。

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2022年6月29日 (水)

サラの考察8: ひも

サラはシェルターに来る前に野良猫だったことがあるようです。まあ17年も前の話ではありますが。でも三つ子の魂百までと言うことわざがあるように、子供の頃に強く心に焼き付いたことは死ぬまで忘れることはないようです。

そのひとつが細長いものにたいする執着です。写真はカメラのストラップにかみつこうとする様子で、うちに来た当初からネズミのおもちゃには全く興味を示さないのに、ただの紐には強い関心を示していました。

「どうして?」
「むかしヘビを食べたら美味しかったのよ」
「なるほどね、ほかにはどんなものを食べていたんだい?」
「あとは枯葉ね。生きている植物は私たちには毒のものが多くて食べられないんだけど、枯葉は大丈夫なのよ」
「猫草は大丈夫なんだよ」
「わかっていても枯れてから食べるのが好きなのよ」
「まあ一度しみついた習慣からはなかなか逃れられないもんだね」

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2022年6月26日 (日)

マケラ-都響 ショスタコーヴィチ交響曲第7番@サントリーホール2022/06/26

今をときめく若手のスター指揮者クラウス・マケラの登場とあって、久々のチケット完売。サントリーホールはこの炎暑の中大変な賑わいです。最近見かけなかった最前列の○○氏も早々と登場。いつもは閉場ぎりぎりなのでびっくりです。

最初の曲は多分マケラのお友達のジノヴィエフが作曲した「バッテリア」。本邦初演です。ジノヴィエフは会場に来ていて、演奏終了後登壇し満場の拍手を浴びました。私としてはなんだかよくわからない曲なので、感想文の書きようもありません。休憩なしと言っても、かなりの時間をかけて楽器などのセットアップを行ない、いよいよ本日のメイン「ショスタコーヴィチ 交響曲第7番」です。これなら休憩入れてもよかったと思います。

都響が演奏するこの曲を聴くのは多分3回目で、前の2回の感想文は下記です。

都響-カエターノのショスタコーヴィチ交響曲第7番「レニングラード」@サントリーホール2013年9月25日
http://morph.way-nifty.com/grey/2013/09/post-84e8.html

インバル-都響:ショスタコーヴィチ交響曲第7番「レニングラード」@東京文化会館2018・3・20
http://morph.way-nifty.com/grey/2018/03/post-ac67.html

死の街を照らしたショスタコーヴィチ交響曲第7番
http://morph.way-nifty.com/grey/2019/01/post-5f66.html

マケラという人は天才のおもむくままという人ではありません。よく曲を勉強して、演奏者に細かく指示を出して繊細に細部から全体を構築する人という印象をうけました。むしろ考えすぎて少し不自然になる部分があるような気もします。第1楽章のファゴットのソロなども少し違和感がありました。ただあまりにも暴力的全合奏の迫力がすごくて、これには度肝を抜かれました。そしてこう演奏するのがきっとベストなんだろうと納得しました。第3楽章の沈潜美、第4楽章の苦い勝利も味わい深いものがありました。

いまの世の中は多くが軍縮という言葉を忘れ、敵国への憎悪をあおり立てて軍拡競争に明け暮れています。これがどのような結果を招くかは想像できるでしょう。この曲はそれを暗示しています。

 

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2022年6月23日 (木)

続・生物学茶話181: 神経系細胞と中胚葉系細胞に分化できる幹細胞

2009年にそれまでの発生生物学の常識である「嚢胚形成時にすべての細胞は、外胚葉・中胚葉・内胚葉の3つのそれぞれ役割分化が限定された細胞系列に分岐する」というパラダイムをひっくり返す論文が出版されました(1)。著者はパスツール研究所のツザナクーやニコラスらを中心としたグループです(図180-1)。

彼らはROSA26サイトにLaacZを組み込んだマウスを作成し、これがランダムに起こる相同組み換えでLacZとなることを利用して、β-galによる呈色で細胞のクローンを可視化するという方法で研究を行いました。ひとつの個体で2回組み替えが起こるという可能性は排除できませんが、その確率は非常に低いのでとりあえず無視します。実験の1例を図180-1に示します。青い細胞集団はそれぞれひとつの細胞から増殖したクローンと考えられます(1)。文献1にはこのほか多数の実例が示されています。

図181-1 神経管と体節の細胞を生み出す幹細胞

妊娠6.5日目に約660個だった胚細胞は7.5日目は15,000個、8.5日目には170万個と対数的に増加し、この間ひとつのクローン内の細胞数が少ないクローンの数が対数グラフで直線的に増加します(1)。このことから著者は増殖に同調性があると指摘しています。

図180-1に示した呈色細胞は図180-2のET74.2というクローンで、これは嚢胚形成終了期から臓器形成期初期にかけて形成されたものです。したがって、この時期に神経外胚葉性の細胞と体節中胚葉の細胞がひとつの親細胞から分化したことが示されています。図180-2をみると、胎生10日目以降すなわち嚢胚形成(gastrulation)がとっくの昔に終わった後でも外胚葉と中胚葉の両者のポテンシャルを持った幹細胞が存在し、ひとつのクローンが2つのラインの細胞群を生み出していることが明らかです。そしてそのような複数の分化可能性を持つ幹細胞の位置は、発生が進むとともに体の後部に移行していることが示唆されています(1、図180-2)。

図181-2 発生過程でのクローン追跡

ツザナクーらは胎生8.5日目の胚でみつかった1017の呈色クローンについて解析し、このうちわずか49のクローンが内胚葉に分布していることがわかりました。このことは内胚葉が非常に限られた祖先細胞から作られるということを意味します(1)。これらの祖先細胞は囊胚形成前はエピブラストに存在し、胚体外中胚葉の祖先細胞とともに原条をトラバースして移動するようです(2)。

中胚葉と外胚葉のバイポテンシャルな幹細胞が頭部形成後にも尾部に分布して活動することは、脊索・脊髄・筋節などがセットになって生物が成長していくことを考えると、目的にかなった配置であると思われます。このバイポテンシャルな幹細胞は胎生8.5日目には神経前駆細胞と中胚葉前駆細胞という新しい細胞群を生み出すようになります(3、図180-3)。

エピブラストから神経方向への分化は、まずBMPによる分化抑制を阻害することによってスイッチが入ることからはじまりますが(4)、これはあくまでも脳を最終到達点にした過程であり、脊髄形成は脳形成とは全く別のプロセスによるという考え方は、すでに19世紀にケリカーによって発表されていたそうです(5)。ツザナクー、オリヴェラ-マルティネス、ツァキリディスらはそれに実験的根拠を与えました(1、6、7)。

図181-3 神経・中胚葉に分化する幹細胞は囊胚形成終期からは尾部で活動する

現在は神経誘導と底板や脊索に発現するソニックヘッジホッグとの関係が焦眉の的になっているようです(8、9)。

考えてみれば幹細胞の重要性は1970年代から言われていたわけですが、ようやく最近になって発生生物学の領域でも、幹細胞の性質、その変化、増殖の方式などを中心に考えていかなければならないというパラダイムシフトが起こってきたような気がします。3胚葉を中心とした説明が遙か遠い昔の遺物のように感じられます。

参照

1)Elena Tzouanacou, Amelie Wegener, Filip J. Wymeersch, Valerie Wilson and Jean-Francois Nicolas, Redefining the Progression of Lineage Segregations
during Mammalian Embryogenesis by Clonal Analysis., Developmental Cell vol.17, pp.365-376, (2009) DOI 10.1016/j.devcel.2009.08.002
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19758561/

2)Lawson,K.A.,Meneses,J.J.,andPedersen,R.A., Clonal analysis of epiblast fate during germ layer formation in the mouse embryo., Development vol.113, pp.891–911 (1991) DOI: 10.1242/dev.113.3.891
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/1821858/

3)Domingos Henrique, Elsa Abranches, Laure Verrier, and Kate G. Storey, Neuromesodermal progenitors and the making of the spinal cord., Development. vol.142(17): pp.2864–2875 (2015) doi:10.1242/dev.119768
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26329597/

4)Di-Gregorio A, Sancho M, Stuckey DW, Crompton LA, Godwin J, Mishina Y, Rodriguez TA., BMP signalling inhibits premature neural differentiation in the mouse embryo. Development., vol.134, pp.3359–3369 (2007)
doi: 10.1242/dev.005967.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17699604/

5)Kölliker A. Die embryonalen Keimblätter und die Gewebe. Z Wiss Zool., vol.40, pp.179–213 (1884)

6)Olivera-Martinez I, Harada H, Halley PA, Storey KG., Loss of FGF-dependent mesoderm identity and rise of endogenous retinoid signalling determine cessation of body axis elongation. PLoS Biol., 10:e1001415. (2012)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23118616/

7)Tsakiridis A, Wilson V. Assessing the bipotency of in vitro-derived neuromesodermal progenitors.
F1000 Res. 2015; 4:100.  DOI: 10.12688/f1000research.6345.2
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26401264/

8)脳科学辞典:ソニック・ヘッジホッグ
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E3%82%BD%E3%83%8B%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%83%98%E3%83%83%E3%82%B8%E3%83%9B%E3%83%83%E3%82%B0

9)Nitza Kahane and Chaya Kalcheim, From Bipotent Neuromesodermal Progenitors to Neural-Mesodermal Interactions during Embryonic Development., Int. J. Mol. Sci. vol.22, 9141. (2021) https://doi.org/10.3390/ijms2217914
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8431582/

 

 

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2022年6月22日 (水)

My favorites 9: 愛から遠く離れて by 伽藍琳

愛から遠く離れて(中島みゆき) by 伽藍琳
https://www.youtube.com/watch?v=OwmEBrrF-6U

20世紀がユーミンの時代だったとすると、21世紀は中島みゆきの時代でしょう。みゆきは生まれてくるのが早すぎましたね。21世紀になって本当にカバーする人が増えました。この曲は夜会 vol.10で歌われているそうですが、私は夜会はおろか、彼女のコンサートには一度も行ったことはありません。私はユーミンにしても中島みゆきにしてもあまりに圧倒的で、私が存在する余地がないような世界なので、多分コンサートには行かなかったのだと思います。しかし今の時代が中島みゆきの時代だということは認めざるを得ません。カバーだとその強大な圧力が緩和されるので、結構カバーは聴きます。私的にはバラードが好きなので、この曲などは特にお気に入り。りん・がらんさんの本業はプロデューサーだそうです。美しい日本語。

Naru&ぷりん 誕生
https://www.youtube.com/watch?v=cHMfZPAlzYs

Naru&ぷりん   地上の星
https://www.youtube.com/watch?v=OnjL-zaj3EE

YO-EN   ホームにて
穴 の 開いた ポリエステル ウィンドウ カーテン 無地 の ポリエステル サンシェード リビング ルーム ベッド ルーム キッチン バス ルーム の 装飾 用 の 吊り下げ

iNO 夏土産
https://www.youtube.com/watch?v=ZR6Iq70k1N4

まきちゃんぐ   空と君とのあいだに
https://www.youtube.com/watch?v=kZ4-AOQwilE

本家本元『誕生』中島みゆき
https://www.youtube.com/watch?v=iGh3zA4DPVs

 

 

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2022年6月19日 (日)

修理センターからPC帰還!

大手術をして帰還した私のPCです。中身はウィンドウズ以外真っ白の白紙になってしまいました。元通りにはなりませんが、使えるようにリハビリをしなければなりません。ともかくメールができるようにセットアップして、バックアップがあったメールアドレスを入力しました。

ブックマークはバックアップがなく、一からやりなおしです。資料は昔集めたものはバックアップしてあるのですが、最近のものはありません。音楽はDドライブ、写真は外部ストレージにすべて入れてあったので助かりました。

リハビリしなければいけないのはPCだけでなく、私も2週間ぼーっと過ごしたので脳がたるんでしまいました。あらためて思うのは、将来PCは単なる通信装置となって、すべてクラウドで作業をするようになるかもしれません。そうするとモノに対する愛着が失われて、さみしい人生になるのではないでしょうか? それにクラウドがまるで神のようにすべてを知っていて、まさしくデジタルファシズムのツールになる可能性もあります。

 

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2022年6月17日 (金)

周防亮介という素晴らしいヴァイオリニストを発見した日

今日から急に夏になって、ようやくすべて夏服に変更です。アイロンもかけて準備万端。錦糸町のすみだトリフォニーホールにでかけました。少し早く着いたので、ホールの正面の路地にあるイタリア料理店「Terzo3」でランチしました。ちゃんとしたパスタとコーヒーとデザートで税込1100円とはリーズナブル。

トリフォニーは素晴らしい音響のホールです。サントリーホールより秀逸という人も多いですが、3F席が少しステージから遠いのが難点。最後列はサントリーと比べるとかなり遠く感じます。新日本フィルのフランチャイズで、今日もその新日本フィルの演奏会です。

今日のコンサートは原田慶太楼氏が振るはずだったのですが、いろいろあってキンボー・イシイ氏が振ることになりました。上品で丁寧な指揮ぶりです。ソリストの周防亮介氏はきっちりお化粧して出てくる男性ですが、その演奏はとびきりやわらかく優しい響きで、ベートーヴェンのコンチェルトで完全に自分の世界をつくりあげ、聴衆を吸い込んでくれます。神尾真由子氏とともに、聴衆を自分の世界に引きずり込む力魔力を持った希有のヴァイオリニストだと思います。

休憩後の吉松隆氏のシンフォニーは第1楽章はドビュッシー&メシアン風、第3楽章はまるでポップスという不思議なアンバランスの作品。第2楽章はとても美しいですが、チャイコフスキーの悲愴交響曲のメロディーがまるごと出てきてびっくりしました。この人が作ったメロディーで、心に残ったのがひとつもないというのは残念。

周防さんのソリストアンコール
バッハ 無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番よりサラバンド

YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=ThOyzlk4uk4&t=173s
https://www.youtube.com/watch?v=Re5Uy-vXL4w
https://www.youtube.com/watch?v=oVz1l-zxd7Y&t=308s

 

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2022年6月16日 (木)

Windows 11

明日でPCを預けてからもう2週間経過しました。ツクモの修理センターからPCが帰還しません。かなりの重症なのかもしれません。マザーボードを交換するという通知が来ましたが、それではまだ不十分だったのか?

やむなく普段は囲碁・将棋用に使っている予備のPCでウェブにもアクセスするしかありません。ところが暇なのでウィンドウズ11にアップグレードしてしまいました。結果まあ大して変わりはありませんが、進歩がない割には細かい操作などに違いがあってイラッとします。今のところメリットに感じるところはあまりありません。強いて言えば左下に温度と天気が表示されるようになったことぐらいか。

デメリットに感じるところは、K-Shogi というソフトで駒を動かすとビリビリと画面が震えるようになって気持ち悪いことです。あと Steam のアクセスに失敗するケースが出ています。ゲーム関係は非常に改良されたと聞きましたが、私的にはむしろ改悪されました。囲碁ソフト Leela はいまのところ無事に動いています。

個人的にはウィンドウズ7が完成形で、その後は必要悪に迫られてつぎはぎした結果、肥大化のデメリットが発生しているように感じます。

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2022年6月13日 (月)

内田康夫「氷雪の殺人」

アサヒペン・油性・ラッカー系速乾ニス・300MLトウメイ(クリヤ)

内田康夫の「氷雪の殺人」を読了。なんと、ご同業の大沢在昌さんが帯に推薦文を書いています。しかもカバーをはずすと、あっと驚くことに今までの表紙が畳になっていました。この小説の内容は自衛隊に関わる汚職にまつわる殺人事件です。昔テレビでも見た気がしますが、やはりオリジナルを文章で読むのはそれなりの面白さがあります。

業者と癒着することは、仕事を進める上で大きなメリットがあります。年間数十万円の取引でも任意のものなら業者はしばしば顔を見せて、御用聞きだけでなく有益な情報をくれます。例えば商品AはBに納入したけれども、○○の弱点があってクレームがついたとか、C社は経営が傾いていて、アフターサービスに不安があるとか様々。一方厳格に相見積もりをすると、安かろう悪かろうで不良品をつかまされたりします。ですからできることなら業者とフレンドリーなつきあいがしたい、そして指定業者から買いたいというのはよくわかります。

ただ取引の金額が億単位にもなれば、しかも税金ということになれば、そうも言ってられません。それでも軍隊で使う高額な装備ともなれば、事実上相見積もりが困難なこともあるでしょう。しかもどんな装備を購入するかというのは秘密の場合もあるでしょうから、不正取引やリベートの温床でもあります。どこの国の軍隊でも同じようなものでしょう。武器商人たちもそのあたりはよく心得ていると思います。

ただ日本では特に自衛隊に傷をつけてはいけないという圧力が強くかかっているので、様々な形で不正取引や利益供与が行われていても解明は難しいでしょう。内田康夫はこのあたりに関心を持って、この小説を書いたと思います。汚職はともかく、私が一番問題だと思うのは米国から装備を輸入する場合、事実上言い値で買わされることです。

 

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2022年6月11日 (土)

ビチュコフ(Bychcov) とWDRそして四方恭子

セミヨン・ビチュコフとケルン放送交響楽団はそれぞれ来日していますが、両者がコンビで来日したことはあるのでしょうか? 私には記憶がありません。ケルン放送交響楽団は旧称で、現在は正式にはWDR交響楽団(Westdeutschen Rundfunk Sinfonieorchester Koln)です。このビチュコフのCDボックスには(箱に細かい傷が多くて恥ずかしいですが)、ベルリンフィル、コンセルトヘボウ、ロンドンフィル、パリ管弦楽団、フィルハーモニア管弦楽団、バイエルン放送交響楽団と欧州のそうそうたるトップオケを振った演奏が収録されていますが、13年も彼が指揮者を務めたWDRとの演奏は、契約の関係でしょうか、1曲もありません。

しかし最近WDRは多くの過去の演奏会のMVを YouTube に公開していて、その中にビチュコフが指揮しているのもあります。中には現在都響のコンミスである四方恭子さんがコンサートマスターを務めている作品もあってこれは聴きものです。オケの落ち着いた音・高い技術とともに、ビチュコフもなかなかの熱演でありながら、何度も聴きたくなる飽きの来ないタイプの演奏です。ただ他の方がコンサートマスターを務めているMVに比べて、四方さんの場合 映っている時間が短いような気がします。カメラマンかディレクターが人種差別主義者だったのでしょうか? ビチュコフは現在チェコフィルハーモニー管弦楽団の音楽監督・首席指揮者です。

チャイコフスキー 交響曲第6番ロ短調
https://www.youtube.com/watch?v=uKsNyuiyRIM

ブルックナー 交響曲第8番ハ短調
https://www.youtube.com/watch?v=g3_Mvh0Fpcg&t=13s

ブラームス 交響曲第3番ヘ長調
https://www.youtube.com/watch?v=mpvpu-sN4gY&t=11s

ブラームス 交響曲第4番ホ短調
https://www.youtube.com/watch?v=Uqv04x2_4d0

ベッド ダブルベッド ダブル ベット シングルベッド セミダブルベッド ダブルベッド ベッドフレーム マットレス付き 収納付き 収納 収納ベッド グレー ブラウン 白 黒 宮付 マットレス付き クイーン マットレスカラー ホワイト 組立設置付iPad Pro 12.9 第3世代 第4世代 ワイヤレス bluetooth キーボード 360度回転 タッチパッド 磁力吸着 カバー リチウムバッテリー内蔵 人気 かっこいい リモートワーク アイパッド プロワキサラフィルム 吸水パッド付きワキ汗 汗取りパッド ワキシート 汗ジミ予防 ワキフィルムトレッカー ザ ライトチェア カーキ UC-1835耐久性に優れた硬質樹脂に、すべり止め防止ラインをプラス。長期使用にも耐える、高性能マットです。 生産国:日本 素材・材質:EVA樹脂 重量:約5.2kg m2(ニューワイドエッジ付) 仕様:厚み:約15mmボンマックス ジャケット AJ0260−8 ネイビー 11号唐木 モダン 位牌 「セノーテ」 4.0寸 (高さ15cm) メープル ウォールナット モダン位牌 文字 仏壇 位牌 小さい 欅 パーロッサ 天然木 可愛い お位牌 名入れ おしゃれジュニア130・140サイズ!ARN-200WJ arena アリーナ スクール水着 ジュニア女子 子供用 ワンピース キッズ プール 水泳 BLKPuTi ヨガ ウェア 2021 年 夏 新しいフィットネス 女性のプロの半袖 トップス ランニングの薄いセクションサンドビック TCMT110304-PM コロターン107 旋削用ポジチップ(122) 4425紀の川柿約2kg(種無し・黒あま柿)秀選品※2022年10月中旬より順次発送予定(お届け日指定不可)池永 IK鉄ギョーザ鍋ハンドル木台付(20) AGY5502\全商品15倍以上!/ピジョン 純正 マルチレインカバー ピジョン マルチレインカバー 背面用 ベビーカーアクセサリー pigeon ベビーカー用レインカバー natural05DL あす楽対応Panasonic(パナソニック):墨出し名人(壁十文字)ピンク BTL1100P パナソニック 墨出し名人 墨出し 壁十文字

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2022年6月10日 (金)

PC難破、そしてナス

修理を依頼しているPCですが、そこにストックしてある資料が無事かどうかがわかりません。だめだったら再収集するしかありませんが、いまのところ動けません。エアーポケットに入ってしまったブログですが、暇なはずの私のスケジュールが今週は異常にタイト。医院に3回、親戚の通夜と葬儀、理髪の予約が1件ありました。なんとか繰り合わせて乗り切りました。

手のひらくらいのポッドに植えたなすの苗が、この曇天がつづく中でもベランダで成長して、ようやく実をつけました。 

 

 

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2022年6月 7日 (火)

サラの考察7: ミーナ

私「ミーナが死んで2ヶ月近くになるけど、どう?」

サラ「なんかちょっと疲れる」

私「それは今まで君がミーナの陰に隠れて、こそこそ生きていたからなのかな」

サラ「そうかもしれないけど、じゃあもんはどうなの?」

私「別にふさぎ込んだり、泣き暮らしたりはしていないけど、自律神経がダメージを受けたらしく、体調はずっと悪いね」

サラ「ミーナはもんにべったりだったからね」

私「この寂しさは、君が生きているからと言っても埋められないね」

サラ「私も思ったより環境が激変したために、やっぱり精神が変調よ」

私「諸行無常、ケセラセラだね」

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2022年6月 3日 (金)

悲劇:PCが難破 キャリーをひいてツクモに

PCが突然落ちてしまいました。これはウィルスを食ってしまったかと大ショック。まあこういうときのためにキャリーにはいる小型のPCを買ったので、クッションを集めてパッケージングして駅に向かいました。

路傍に咲くランタナが可憐です。ランタナは侵略的外来種ですが、別にいいんじゃないかと思います。もう世界中に帰化植物として分布しています。

3年ぶりの秋葉原はすっかり復活していて、派手な壁のデコレーション(The idolm@ster)や道ばたのメイドさんも復活。ツクモ本店までキャリーを引いて歩き、3Fの修理センターまで上がって係に対応してもらいました。係の方は親切でいろいろチェックしてもらって、どうも電源まわりに問題があるようだということがわかりました。来た甲斐がありました。ラッキーだったのは延長保証にぎりぎりでひっかかっていて、無料で修理してもらえるとのこと。ウィルスじゃなくてハードウェアの問題だと、ファイルが救出できる可能性があります。

帰りに本郷三丁目に寄りました。「カミュとマドレーヌ」は健在。こんな小さなお店ですが数十年間変わらず営業しています。「麦」も健在。ここで昼食休憩。ヴィヴァルディのフルート協奏曲がかかっていました。なかなかいい曲。

修理に10日~2週間かかるとのことだったので、帰宅してから予備のPCをなんとかセットアップして記事をアップしました。

当分こいつに頑張ってもらわないとね。

 

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2022年6月 1日 (水)

続・生物学茶話180: ポロネーズから原条形成へ

鳥類や哺乳類での目に見えるドラスティックな形態形成の始まりは、原条形成を契機とした原外胚葉細胞(エピブラスト)の陥入による中胚葉化ですが、実はその前に原外胚葉細胞がぐるぐると表層を移動することが19世紀から知られていました(1、2)。これらのの論文はドイツ語で私は未読ですが、当時から一部の発生学者らはこの細胞運動を「ポロネーズ」と呼んでいたようです(3)。

ポロネーズはショパンの曲でもおなじみなように、チャンチャカチャンチャンという3拍子のリズムで、1拍めは膝をゆるくして、2-3拍目は普通に歩く感じで進み、何度かくりかえして円を描くようにして元の位置に戻るというポーランドのダンスです(4)。多分細胞がぐるっと移動して元の位置にもどる感じが似ていると思ったのでしょう。

ヴォイスレスキューとスターンらは、かなり以前からこのポロネーズ現象の重要性を再認識し、原条形成のメカニズムの解明に取り組んできました(3、図180-1)。原条が形成される前の段階ではポロネーズで元に戻ってきた細胞は、再度中央の通路を前進することになりますが、原条ができると溝の中に落ち込むことになります。

図180-1 ポロネーズ運動

スターンの研究室では原条形成を誘導するのはポロネーズの細胞ではなく、またラウバーの鎌でもなく、ラウバーの鎌より後方のマージナルゾーン(PMZ=posterior marginal zone)の細胞であることを20世紀にニワトリ-ウズラ移植実験によって確認していました(5)。彼らおよびアンダーソンらの研究の蓄積によって、鳥類や哺乳類での原条形成のトリガーは、PMZから放出される Gdf1、Nodal およびエピブラストから放出されるWntの作用であることがわかりました(6、7)。

Wntによる情報伝達経路は複雑ですが、それでもそこそこわかっている方で、エピブラストの原条陥入・中胚葉化の場合には noncanonical PCP pathway が用いられているようです。PCP は planar cell polarity の略称です。Wntが細胞膜7回貫通受容体のひとつ Frizzled と co-receptor に結合すると、その情報は Frizzled の形態変化により、その細胞内ドメインが dishevelled をリクルートします。Dishevelled は Dishevelled-associated activator of morphogenesis 1(Daam1) という複合体を形成し、これが RhoA の活性化を介して ROCK の活性化を行い、活性化された ROCK はミオシン軽鎖キナーゼをリン酸化しアクチンとの相互作用を強めように働きます。またストレスファイバーやデスモソームの形成を促します(8、9、図180-2)。

Daam1 はまた profillin とアクチンとの結合を促進し、アクチンによるマイクロフィラメントの形成を促進します。Dishevelled は RNF185 を介して Paxillin を活性化します。Paxillin はデスモソームの形成や、中胚葉性細胞の運動の活発化に関与しているようです(10-12)。また dishevelled は RhoA とは別の GTPase である Rac1 を介して JNK による遺伝子発現の調節にかかわり、囊胚形成に寄与しているようです(12、13)。Noncanonical Wnt-PCP pathway は要するに、デスモソーム形成・偽足形成・運動の促進などを通して、まさに原条陥入など細胞の集団的移動をサポートしているようです。

図180-2 Wnt-PCP 経路

Gdf1 については情報がまだ少ないのでここではとりあげません。Nodal については発見されてから30年以上経過し、かなり情報の蓄積があります。この分泌性の因子は最初にコンロンによって発見され(14)、後にジョウらによってマウスの囊胚形成に重要な役割を果たすことが報告されました(15)。ノードに顕著に認められたので nodal と命名されました。

Nodal は細胞膜の受容体タイプ1とタイプ2の複合体にトラップされることによって情報伝達を行ないますが、細胞外で Nodal に結合して無力化する Lefty と Cerberus という因子が存在していて、これらが分布する領域では機能を発揮できません(16、17)。でないと組織がすべて中胚葉化されてしまうので、このような因子が存在するのは当然ではあります。たとえばニワトリのハイポブラストは Cerberus を発現していて nodal の影響を受けないようになっています(7)。

受容体に nodal が結合すると smad2, smad3 がリン酸化されてヘテロダイマー(またはホモダイマー)が形成され核にはいります。これと smad4 およびその他の転写因子の働きで合成されるさまざまな転写産物が原条形成にかかわっているとされています(7、図180-3)。ただこれらの smad 分子群がどのようにかかわっているかについては文献によって相違があって詳しいコンセンサスはまだ得られていないようです(16、17)。また転写産物についても全貌が明らかにされたわけではありません。

図180-3 Nodalによる情報伝達経路

図180-4はヴォイスレスキューらの論文の図ですが、ニワトリ原条形成期の Nodal、Wnt-PCP、外胚葉から中胚葉への転換をマーカーを用いて領域を示しています。これらのすべては原条近辺に局在化していて、それぞれ密接な関係があることが示唆されています。ヴォイスレスキューらは Nodal と Wnt-PCP 経路によって誘起された細胞間相互作用によって、原条近辺でのエピブラストから中胚葉細胞への転換がすべて説明できるとしています(7)。

ヴォイスレスキューらはまた、中胚葉への転換は個々の細胞レベルではポツポツと起こっていて、転換した細胞はエピブラスト集団からは排除されて内部に落ち込んでいく様子を観察しています(7)。しかしこれらの細胞がまとまって新しい組織や臓器を形成して行くには、細胞接着によってコミュニティーを作って変化していく必要があるわけで、コミュニティーができるとそれらは接着性によってエピブラストからは排除され、原条を形成して内部に落ち込んでいくのかもしれません。

図180-4 Nodal、Wnt-PCPの可視化

 

参照

1)Graper, L. Die Primitiventwicklung des Hunchens nach stereokinematographischen Untersuchungen, kontrolliert durch vitaleFarbmarkierung und verglichen mit der Entwicklung anderer Wierbeltiere. Arch. EntwMech. Org. vol.116, pp.382-429 (1929).

2)Wetzel, R. Untersuchungen am Huhnchen. Die Entwicklung des Keims wahrend
der ersten beiden Bruttage. Arch. EntwMech. Org. vol.119, pp.188-321 (1929).

3)Octavian Voiculescu, Federica Bertocchini, Lewis Wolpert, Ray E. Keller & Claudio D. Stern, The amniote primitive streak is defined by epithelial cell intercalation before gastrulatio., Nature, vol.449, pp.1049-1052 (2007)

4)Jak tacczyc poloneza? kroki taneczne
https://www.youtube.com/watch?v=fbq187_-Eqg

5)R F Bachvarova, I Skromne, C D Stern, Induction of primitive streak and Hensen's node by the posterior marginal zone in the early chick embryo., Development vol.125(17): pp.3521-3534. (1998) doi: 10.1242/dev.125.17.3521.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9693154/

6)Andersson O., Reissmann E., Jornvall H., Ibanez C.F., Reissmann E., Jornvall H., Ibanez C.F., Jornvall H., Ibanez C.F., Ibanez C.F. Synergestic interaction between Gdf1 and Nodal during anterior axis development. Dev. Biol. vol.293: pp.370–381 (2006) https://doi.org/10.1016/j.ydbio.2006.02.002
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0012160606000807

7)Octavian Voiculescu, Lawrence Bodenstein, I-Jun Lau1, Claudio D Stern, Local cell interactions and self-amplifying individual cell ingression drive amniote gastrulation.,
eLife vol.3: e01817. (2014) DOI: 10.7554/eLife.01817

8)Wikipedia: Wnt signaling pathway
https://en.wikipedia.org/wiki/Wnt_signaling_pathway

9)Wikipedia: Rho-associated protein kinase
https://en.wikipedia.org/wiki/Rho-associated_protein_kinase

10)Wikipedia: Paxillin
https://en.wikipedia.org/wiki/Paxillin

11)基礎生物学研究所 プレスリリース 運動能の高い細胞、動きの制御に新知見
https://www.nibb.ac.jp/press/070608/070608_open.html

12)Sino Biological: Non-Canonical Wnt Signaling Pathway
https://www.sinobiological.com/pathways/non-canonical-wnt-pathway

13)浅岡洋一 初期発生期における JNK シグナル伝達経路の多様な生理的役
比較生理化学 vol.30, no.2, pp.59-67 (2013)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/hikakuseiriseika/30/2/30_59/_pdf/-char/ja

14)Conlon FL, Barth KS, Robertson EJ, A novel retrovirally induced embryonic lethal mutation in the mouse: assessment of the developmental fate of embryonic stem cells homozygous for the 413.d proviral integration., Development., vol.111 (4): pp.969–981, (1991) doi:10.1242/dev.111.4.969

15)Zhou X, Sasaki H, Lowe L, Hogan BL, Kuehn MR, Nodal is a novel TGF-beta-like gene expressed in the mouse node during gastrulation. Nature vol.361 no.6412: pp.543–547. (1993)
doi:10.1038/361543a0
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8429908/

16)Siim Pauklin and Ludovic Vallier Activin /Nodal Signaling in Stem Cells., Development., vol.142(4): pp.607-619 (2015) doi: 10.1242/dev.091769.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25670788/

17)Caroline S Hill, Spatial and temporal control of NODAL signaling., Current Opinion in Cell Biology vol.51, pp.50-57 (2018) doi.org/10.1016/j.ceb.2017.10.005
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0955067417301412?via%3Dihub

 

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2022年5月29日 (日)

UEFAチャンピオンズリーグ決勝

 

先日のクラシコではバルサになすところなく敗れたレアル・マドリーが、なんとなんとビッグイヤーを獲得してしまいました。私の予想ではマンCかバイエルンが優勝するのではないかと思っていたので意外な結果です。

決勝はサンドニでリバプールとマドリーの争いとなりました。リバプールはがっちりと守備を固めた上にフォワード陣が絶好調で、特にサラ(うちのサラとはRとLの違いがある)は若い頃のような素晴らしいシュートを連発していました。それらを含めてマドリーのGKクルトワは獅子奮迅の大活躍で雨あられのシュートを全部止めました。

アンチェロッティが右エストレーモにフェデ・バルベルデを起用したのが当たり。後半素晴らしいラストパスをゴール前に通して、ヴィニシウスがゴール。マドリーらしい勝利でした。まずはおめでとうございます。

バルサはラ・リーガを2位で終了しましたが、わけのわからないまま終わったシーズンでした。チャビがどんなサッカーをやりたいのかもよくわかりませんでした。結果的にはエストレーモからのクロスを頭で決めたケースが多かったようです。それならずっとルークとオーバメヤンを2トップで使えばいいのにそれはタブーのようでした。FWは数だけは有り余るくらい選手がいて、サラリーキャップにひっかかり今オフは大変な事態になっています。誰が出るのか残るのかさっぱりわかりません。さて来シーズンはどうなることやら。

 

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2022年5月28日 (土)

アリゼのステージ



アリゼももう40才近くの年齢に達しているそうですが、彼女が10代の頃のパフォーマンスの衝撃は忘れられません。最初に知ったのはブルボンのCMだと思いますが、来日して「笑っていいとも」にも出演していたそうで、これは見逃しました。

最近素晴らしいステージの映像がアップされていることに気がつきました。

Moi...Lolita  多分これがデビュー曲
https://www.youtube.com/watch?v=sz4xDGUr91A

J'en ai marre!    大ヒット曲 (うんざり 日本でのタイトル=恋するアリゼ)
https://www.youtube.com/watch?v=d8KPZAC4rAc

Toc de mac (ぴかいち)
https://www.youtube.com/watch?v=yTfFYEBKUr4

J'ai pas vingt ans (はたちじゃないの)
https://www.youtube.com/watch?v=B8uoyPZhuUw

Gourmanndises (ごちそう)
https://www.youtube.com/watch?v=MshULZzbpc0

Tempete (暴風雨) バラードです
https://www.youtube.com/watch?v=r3LPL67YPF8

(写真はウィキペディアより)

 

 

 

 

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2022年5月25日 (水)

小泉-都響 チャイコフスキー交響曲第4番@東京芸術劇場2022/05/25

都響は以前の賑わいが戻って快調に復活しました。池袋の街も賑やかで活気をとりもどしています。今日の指揮者は小泉さん、コンマスはボス矢部、サイドはゆずきです。ソリストは清水さんで、ラフマニノフの2番のピアノコンチェルト。この曲は曲自体が素晴らしいので、普通に衒いなく弾いていただければメロディに没入できる曲です。清水さんは巨匠ですが、瑞々しいタッチで聴かせていただいて大変楽しませていただきました。

後半はチャイ4ですが、なぜか指揮台を交換して背もたれ付きになりました。今日はかなりエキストラが多くて、特にクラリネットのN響の方は目立っていました。この方のプレイスタイル好きです。もうひとり珍しかったのはヴィオラに黒人奏者の方が参加しておられたことです。チャイ4は欧州での演奏会にも持って行ったくらいで、都響の18番です。

都響は小泉さんが指揮をすると、なぜかのびのびと思い切り弾けるみたいで、特に弦楽器のアンサンブルの凄さはこの大編成でも全くゆるぎなく、まさしく鳥肌ものです。最近割とうるさいことが多い柳原ですが、今日は目立たず良いバランスで演奏していました。打楽器は今日くらいガンガンやった方がいいですよ。特にこの曲の場合はね。

終了後1Fに降りたら、「風呂敷東京」という催し物をやっていて、皆さんに風呂敷を無料で配っていました。東京都も税金使ってバカなことをやるものです。私も並んで風呂敷をもらって帰りましたが。

 

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オットー・マンゴルトはシュペーマンの弟子で、その仕事を受け継いで発展させた功労者です。ドイツ動物学会の会長まで務めた著名人ですが、教科書などで取り上げられる場合も少なく、ウェブサイトの情報は多くありません。これは彼がナチの協力者であったことが影響していると思われます。Second.wiki や de.zxc.wiki などには少し情報があります(1-3)。

オットー・マンゴルトはシュペーマンと共にオーガナイザーの研究を行ったヒルデ・プレショルトと結婚しましたが、新婚のヒルデはキッチンでのガス爆発が原因で亡くなりました。さらに息子は第二次世界大戦で戦死するという家庭的には悲運の人です。彼はシュペーマンと同様両生類の胚を使って、原口背唇から外胚葉の裏側に潜り込んだ組織がその後どのような役割を果たすかについて研究を行いました(図179-1)。

図179-1 オットー・マンゴルトとイモリ

原口背唇部は原腸形成後、原腸の天井に位置することになりますが、オートー・マンゴルトはその周辺領域(ルーフ)に、将来頭部・胴部・尾部を形成する活性が前後に順に並んで存在することを証明しました(4、5、図179-2)。すなわちルーフの前部を他の個体のルーフに移植するとその部分に2次的な頭部ができ、中央部を移植すると2次的胴体、後部を移植すると2次的尾部が形成されます(尾は肛門より後ろの胴体のことです)。つまりそれぞれの部分にヘッド/トランク/テイルのオーガナイザーが存在するというオットー・マンゴルトのモデルです(図179-2)。

その後ニューコープらはマンゴルトらがみつけた誘導現象はワンステップではなく、まず原口背唇部・ヘンゼン結節・ノード・ノトコードなどによって外胚葉が前脳になるような誘導 (activation) がかかり、その後側板中胚葉などから中脳・後脳・脊髄への誘導 (activation) がかかるという理論=Activation-Transformation theory を唱えました(6)。この理論は若干の修正はあるものの現在でも概ね正しいとされています(7)。前脳とは脳科学辞典の記述によれば「大脳(扁桃体、海馬などの辺縁皮質を含む)、中隔核、乳頭体、視床前核、嗅球といった大脳皮質外の構造、視床、視床上部、視床下部などからなる領域」ということになります。

図179-2 オットー・マンゴルト、ピーター・ニューコープの理論

シュペーマン、オットー・マンゴルト、ニューコープらは両生類の胚を実験材料として使っていましたが、それと共により私たちに近いマウス、ニワトリ、ゼブラフィッシュの胚の予定領域を並べて見ると驚くことがあります。それはマウスやニワトリなどの有羊膜類では、対応する発生ステージにおいて予定脊髄領域が著しく小さいことです(8、図179-3の黄色の部分)。

哺乳類と鳥類には羊膜がありありますが、魚類や両生類にはありません。しかしこのことが予定脊髄領域のテリトリーに関与しているかどうかはわかりません。ただ前者は後者に比べて脳が格段に発達しているので、ともかく発生段階から脳と視・聴・嗅覚を先に発達させて、胴部・尾部は後回しというボディープランになったと想像できます。

図179-3 脊索動物胚背部の予定運命

頭部優先で発生を行うためには、原溝(原条)は前後平等であってはいけません。実際原溝最前部にはヘンゼン結節(鳥類)・ノード(哺乳類)など特に活発な活動を行う部位があり、ここから落ち込んだ原外胚葉細胞を中心に頭部形成の準備を始め、それが一段落してから原溝は後退して、体節中胚葉や脊髄の前駆細胞を送り出します(8、図179-4)。

図179-4 ニワトリ原溝の消長と体節・脊髄の形成

ツァキリディスらは2014年に細胞培養などの手法を用いて、多分化能を持つエピブラスト(原外胚葉細胞)がWntの作用によって体節中胚葉と神経細胞などの限定分化能をもつ幹細胞に変化し、さらに体節中胚葉を形成する細胞と、脊髄を形成する細胞を生み出すことを報告しました(9)。

すなわちヘンゼン結節やノードには分化の可能性は限定されつつも、自己増殖あるいは不等分裂によって自分自身を保存しながら分化した細胞を生み出すことができる幹細胞が存在し、その働きで幹細胞を温存しつつ予定体節細胞や予定ノトコード・予定神経細胞を結節外に送り出し、順次体節や脊髄の形成に資することができるわけです(10、図179-5)。

図179-5 ヘンゼン結節またはノードには幹細胞がある

図179-6では単純化していますが、実際には自己複製と単一の分化しか行わない細胞(図179-5)以外に、このような体節にも神経にも分化できる細胞が実際にありそうだとされています。Sox2は神経系細胞のマーカー、Brachyury は中胚葉細胞のマーカーで、バイポテンシャルな前駆細胞には両者が存在します(10)。

ただ原外胚葉細胞からは他のタイプの幹細胞・前駆細胞も形成されていると思われますし(たとえば多分化能を持つ細胞)、それぞれの分化誘導機構も様々でしょうから、実際にはコンピュータでしか答えが出せない複雑なメカニズムが潜んでいることは容易に想像できます。

図179-6 2種類の細胞に分化できる幹細胞

ここで忘れてはならないのは脊索(ノトコード)の存在です。ここまでの説明では脊索がこの種の前駆細胞とどのようにかかわっているかはわかりません。脊索が脊髄を誘導することは昔からしられていますが、新しい考え方が出てきたからには再検討が必要になります。中胚葉系の細胞群と神経系の細胞群を制御統括するのが脊索であることが示唆されていますが(11)、このあたりの問題は次の機会にとりあげたいと思います。

参照

1)second.wiki: Otto Mangold
https://second.wiki/wiki/otto_mangold

2)Qw: Otto Mangold
https://de.zxc.wiki/wiki/Otto_Mangold

3)The Embryo Project Encyclopedia: Otto Mangold (1891-1962)
https://embryo.asu.edu/pages/otto-mangold-1891-1962

4)Mangold, O., Uber die Induktionsfahighkeit der verschiedenen Bezirke
der Neurula von Urodelen. Naturwissenshaften vol.21: pp.761-766.(1933)
https://link.springer.com/article/10.1007/BF01503740

5)Claudio D. Stern et al., Head-tail patterning of the vertebrate embryo:
one, two or many unresolved problems? Int. J. Dev. Biol. vol.50: pp.3-15 (2006)
doi: 10.1387/ijdb.052095cs
https://web.mit.edu/7.72/restricted/readings/Stern%20et%20al.pdf

6)Nieuwkoop, P. D. and Nigtevecht, G. V., Neural activation and
transformation in explants of competent ectoderm under the influence of
fragments of anterior notochord in urodeles. J Embryol Exp Morphol vol.2: pp.175-193. (1954)
https://journals.biologists.com/dev/article/2/3/175/49249/Neural-Activation-and-Transformation-in-Explants

7)Fraser, S.E., and Stern C.D., Early rostrocaudal patterning of the
mesoderm and neural plate, In Gastrulation: from cells to embryo, C. D. Stern,
ed. (New York: Cold Spring Harbor Press), pp. 389-401. (2004)
http://gastrulation.org/

8)Ben Steventon, and Alfonso Martinez Arias, Evo-engineering and the cellular and molecular origins of the vertebrate spinal cord., Developmental Biology vol.432, pp.3-13 (2017)
https://doi.org/10.1016/j.ydbio.2017.01.021
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0012160616305103

9)Anestis Tsakiridis et al., Distinct Wnt-driven primitive streak-like populations reflect in vivo lineage precursors. Development vol.141, pp.1209-1221 (2014) doi:10.1242/dev.101014
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24595287/

10)Domingos Henrique, Elsa Abranches, Laure Verrier and Kate G. Storey
Neuromesodermal progenitors and the making of the spinal cord
Development vol.142, pp.2864-2875 (2015) doi:10.1242/dev.119768
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26329597/

11)Nitza Kahane and Chaya Kalcheim, From Bipotent Neuromesodermal Progenitors to
Neural-Mesodermal Interactions during Embryonic Development., Int. J. Mol. Sci., vol.22, no.9141, (2021) https://doi.org/10.3390/ijms22179141
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8431582/

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2022年5月23日 (月)

内田康夫「中央構造体」

これは2002年に講談社から出版された、皆さんお馴染みの浅見光彦が大活躍する内田康夫の小説ですが、スケールが大きくまさしく日本の政治経済の背骨の病巣をえぐった物語です。

モデルとなった日本長期信用銀行(長銀)はバブル崩壊によって膨大な不良債権をかかえ、結局税金を4~5兆円投入したにもかかわらず(ウィキペディア)倒産し、米国資本に二束三文で買い取られて新生銀行となりました。ひとつの企業が税金4~5兆円をドブに捨ててしまったのです。小説の中で光彦も激しく言及していますが、これで革命どころか政権交代もおこらなかったというのは日本の恥です。

先日私の預金通帳のプリントがいっぱいになったので新しい通帳にしようと思ったら、みずほ銀行の最も近い(といっても往復は半日仕事)支店である鎌ケ谷支店が廃止され、業務が船橋支店に移管されていました。たかが通帳更新のために船橋までいかなければならないとは末期的です。駅やスーパーから時計が消えたのも末期的、水道事業を外国企業にやらせるのも末期的、バスや鉄道の路線がなくなるのも末期的、交番の縮小も末期的です。最近デジタル化とうるさく言われますが、これもお役所の弱体化を糊塗するためと、外国資本へ産業を売り渡すためのプロパガンダです(堤未果著 「デジタル・ファシズム」 NHK出版)。

この小説のストーリーとはあまり関係がない会話の中で、内田康夫は何度も「日航ジャンボ機墜落事故の原因は自衛隊の誤射」と言わせています。このことははマスコミが報じていないだけで、関係者の間では常識なのかもしれません。

ウィキペディアの記事をみると、平将門は決して小説で持ち上げているような革命家ではなく(見ていませんがNHKの大河ドラマでも持ち上げていたそうです)、関東豪族間の私闘を制して自ら天皇を名乗ったお調子者のような印象を受けました。とはいえ現在でも神田明神をはじめとして多くの神社が将門を祀っていることを思うと、平安時代の当時としては将門の反乱はとてつもない大事件だったのでしょう。

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2022年5月21日 (土)

サラの考察6: 休暇

サラ「最近は天気が悪いんで、眠くて。考察はお休み」

私「そりゃ猫は雨天だと狩りができないから、眠くなるのは本能だろうけど、あまり動かないと糖尿病になるかも」

サラ「糖尿病は人間の病気じゃないの?」

私「とんでもない、猫だって糖尿病になるし命を落とすこともあるんだよ」

サラ「じゃそろそろ起きるとするかな」

私「来週は天気が良くなるそうだから、ベランダで遊ぼう」

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2022年5月19日 (木)

Feam のオタ芸@インドネシア

最長不倒の地下アイドル「Feam」はもはや日本の重要なサブカルチャーのひとつですが、そのパフォーマンスに欠かせないファンのオタ芸が、なんとインドネシアにまで移植されていました。

https://www.youtube.com/watch?v=5f3J8raZNNA

本家オタ
https://www.youtube.com/watch?v=YJHY4mSqYn0

Feam (2006年結成~現在に至る)
https://www.youtube.com/watch?v=ANO23YtHmSk

なんと「笑顔のスイッチ」にはバラード版まである
https://www.youtube.com/watch?v=c6GRVwXWC-o
https://www.youtube.com/watch?v=gmt1V4YOVxM

イーロン・マスクが「当たり前のことだけど、出生率が死亡率を上回るような変化がない限り、日本はいずれ存在しなくなるだろう。これは世界にとって大きな損失になる」と言ったそうですが、同意します。出生率があがらないのなら、どんどん移民をふやして賑やかな国にしましょう。そして日本は常に世界の辺境にあるようにしましょう。優れた文化は辺境のカオスから生まれます。

 

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2022年5月15日 (日)

クレア・フアンチ ピアノリサイタル@多古町コミュニティプラザ文化ホール2022/05/15

曇天で湿度は高いとはいえ、気温は最適で過ごしやすい日曜日です。今日はピクニック気分でディープ千葉の多古町にでかけました。アクセス特急でまず成田空港のターミナル2に行き、エスカレーターで到着ロビー前のバス乗り場に行きます。

ここから多古町行きのシャトルバスが出ています。海外との往来が解禁されたとはいえ成田空港はまだ閑散としていて、なんと構内をツバメがたくさん飛び交っています。ターミナル2の看板の裏に巣を作っていると思われる者もいました(2の数字の上にいます)。

バスに乗って美しい水田をながめつつ多古町へ向かい、役場前で降りて少し歩くと立派な文化ホールがありました。

入り口にある催し物の看板。

ホールは大変立派で、特にステージはヤマハのフルコンサートが小さく見えるほど広大。

フアンチのリサイタルは、白寿ホール、ブルーローズと通って3回目ですが、なぜ今回こんな不便な片田舎のホールでリサイタルをやるのかわかりません。お客も少ないです。彼女は今次々とメジャーレーベルからCDも出版していて、絶好調の状態だと思います。

本人が登場すると、あれれプレグナント? そのことと新型コロナが関係して東京でのコンサートを避けたのかもしれません。まあ彼女はヨーロッパでもほぼ週1回のコンサートをやっていて、片田舎のホールで演奏することもしばしばあるようではあります。

以前と比べて、今回の演奏には全く新しい印象をうけました。作品を一度自分の中で完全に解体して再構築しているような感じで、バッハにしてもモーツァルトにしても、とても新鮮な感覚の演奏に感じました。すごかったのはトッカータとフーガで、まるで彼女がダイヤモンドナイフのような指でたたく鍵盤から散乱する鉄塊が、ホールを粉々に破壊するような迫力を感じました。

ベートーヴェンの田園交響曲をリストがピアノ独奏用に編曲した作品ははじめて聴きましたが、特に嵐から感謝に至る終盤のやわらかな感動がテンションを高めてくれました。

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2022年5月13日 (金)

続・生物学茶話178: ラウバーの鎌

ニワトリ胚の卵割については、私は学生実習でもやったことがないので簡単に復習しておきます。カエルのような両生類は単に水中に卵を産み落とすだけですが、陸上生活をすることになった生物は殻付きの卵を産む爬虫類・鳥類のグループと、胎盤を形成する哺乳類に分かれました。殻と卵白に包まれた鳥類の胚は大部分が栄養成分である卵黄で形成されているため、卵割する胚本体は卵黄にへばりつくような薄く小さなスペース(胚盤 直径2~3mm)しか与えられていません。このため盤割とよばれるタイプの、まず薄いシート状に細胞が増殖することから発生がはじまります(図178-1)。

この胚盤周辺には学術的な名前がつけられていて、卵黄部分は Area pellucida (暗域、不透明域)、細胞部分は Area pellucida (明域、透明域)、中間部分は Marginal zone (境界域)とされています(1、図178-1)。Area の代わりに Zone が使われることもあります。

図178-1 ニワトリの卵割

Area pellucida が細胞のシート(エピブラスト=胚盤葉上層)で埋まる頃、まだ卵白も殻もついていない卵は輸卵管を移動し始めます。このときに移動方向の前後がそのまま胚の前後となるそうです(2)。このとき後方にあたる部分のエピブラストの裏側にラウバーの鎌と呼ばれる構造ができます(図178-2)。

ラウバーの鎌(Rauber's sickle)というのは、図178-2のように胚の後方からハイポブラスト=胚盤葉下層となる細胞が増殖し始めた形が鎌に似ているからですが、コラーの鎌 (Koller's sickle)ともいうことがあるそうです。ウィキペディアによれば発見者がラウバー (August Rauber 図178-3、3)なので、ラウバーの鎌というのが適切かと思います。そのあたりの事情はおそらく Atlas of Chick Development という本(4)に詳しく書いてあると思われますが、Marc Callebaut and Emmy van Nueten の文献(5)によると、ラウバーが1876年にこの構造を発見しましたが、そこから原条が発生することを記載したコラーにちなんでコラーの鎌と呼ばれるようになったそうです。この文献の著者らはラウバーの鎌と呼んでいます。

胚盤葉上層の裏側には上層から剥離した細胞が落ち込んでいますが、後方からの増殖で伸びてきたラウバーの鎌はこれらの細胞をひろって結合し。最終的には最前方の胚盤葉上層まで到達して閉じた構造になります(6)。ラウバーの鎌が多少なりとも脚光を浴びたのは Marc Callebaut と Emmy van Nueten がウズラの鎌をニワトリに移植すると第2の原始線条(primitive streak) が発生したことを報告してからでしょう(5)。これはラウバーの鎌が両生類のオーガナイザーに相当することを意味します。

図178-2 ラウバーの鎌と胞胚の形成

ラウバーはウィルヘルム・ヒスの弟子でドイツ人ですが、エストニアのタルトゥー大学で仕事をした発生学者です(図178-3)。タルトゥー大学は知らなかったので調べると、なんと江戸時代初期の1632年設立で、現在も150のビルを擁するエストニア最大の大学だそうです。それでも辺境の学者だったせいか、ラウバーの鎌(コラーの鎌)の発見は100年以上も前の業績にもかかわらず、発生生物学の教科書にはよくてちょっぴりふれてあるというのが普通で、私はその種の学科の出身ですがまったく習いませんでした。スコット・ギルバートの教科書(第7版)にもラウバーの名はありません(Koller's sickle という記載はあります)。

オーガナイザーに相当するラウバーの鎌は、そこに含まれる細胞から増殖した細胞群が原始線条 (primitive streak) やヘンゼン結節 (Hensen's node) を誘導するというはたらきがあり、ニワトリの胞胚・嚢胚形成=形態形成はここからスタートすると言っても良いような重要な組織です。

図178-3 アウグスト・ラウバー

ラウバーの鎌を構成する細胞群の予定運命を Bachvarova らの知見に基づいて図示しました(7、図178-4)。ラウバーの鎌は自らが活発に増殖するとともに胚盤葉上層細胞を誘導してヘンゼン結節と原始線条を形成し、中胚葉や脳神経組織などに分化します。また下部の細胞は内胚葉となります。生殖三日月環は、原条形成期に内胚葉細胞の増殖によって胚盤葉下層の細胞群(黄色)が前方に押されてできた形態ですが、それ自身は臓器に分化するわけではありません。しかしこの領域は生殖細胞の前駆細胞を含んでおり、これらの前駆細胞は将来血流によって生殖巣に運ばれることになります(6)。

図178-4 ラウバーの鎌の発生予定運命

ステージが進むとラウバーの鎌部分はテイルバッドと呼ばれるようになりますが、囊胚期になってもこの領域は、筋・骨格・神経などに分化する幹細胞(neuromesodermal progenitors)のニッチとして重要な役割を果たすことになります(8)。


参照

1)ボヘミアンへこっち 存在の耐えられない軽さ ニワトリ初期発生のまとめ
https://kohecchi.hatenablog.com/entry/2019/04/06/184733

2)東中川徹・八杉貞夫・西駕秀俊編 「ベーシックマスター 発生生物学」オーム社 p.53 (2008)

3)Wikipedia: August Rauber
https://en.wikipedia.org/wiki/August_Rauber

4)Ruth Bellairs, Mark Osmond “Atlas of Chick Development”Elsevier (2005) 新版(2014)
https://www.amazon.co.jp/Atlas-Chick-Development-Third-Bellairs/dp/0123849519

5)Marc Callebaut and Emmy van Nueten, Rauber's (Koller's) Sickle: The early gastrulation organizer of the avian blastderm., Eur. J. Morphol. Vol.32, No.1, pp.35-48 (1994)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8086267/

6)Scott F. Gilbert “Developmental Biology”7th edn Sinauer Associates Inc., p.355 (2003)

7)Rosemary F. Bachvarova, Isaac Skromne and Claudio D. Stern, Induction of primitive streak and Hensen’s node by the posterior marginal zone in the early chick embryo., Development vol.125, pp.3521-3534 (1998) doi: 10.1242/dev.125.17.3521.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9693154/

8)Charlene Guillot, Yannis Djeffal, Arthur Michaut, Brian Rabe, Olivier Pourquie, Dynamics of primitive streak regression controls the fate of neuromesodermal progenitors in the chicken embryo., eLife vol.10: e64819. (2021) DOI: https://doi.org/10.7554/eLife.64819
https://elifesciences.org/articles/64819

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2022年5月 9日 (月)

サラの考察5: 愛について

サラ「私たち猫族のメスはひとりで子育てできるから、愛は完全に自由で純粋なのよ。どう、うらやましいでしょう」

私「人類が始まった頃はメスひとりで子育てするのは無理だっただろうね。まあ21世紀の今でも困難なことだけど」

サラ「天敵のいる弱い生き物のメスは、どうしても腕力や権力を持ったオスを求めるのよ。だから愛といっても、私たちの愛とは違うのよね」

私「ヒトも元々は弱い生物だったから、メスが集団社会のボスやマッチョなオスを求めるのは自然な流れだね」

サラ「ヒトの祖先のサルも社会を作って、そのボスに多くのメスが寄ってくるような脳のしくみがあるのでしょう。ヒトにもそういう私に言わせれば不純な愛の要素は残っているはず」

グレチコ「ヒトは文明を発展させて、もはや天敵は寄生生物だけになったので、このまま数百万年経過すれば、猫のような愛の形になる可能性はあるかもな」

私「それは楽天的すぎるんじゃない。完全に男女平等な社会では、実はオスは精子を運ぶ以外に用無しになるんじゃないだろうか? そうすると愛は消滅するかもしれない」

サラ「魚や昆虫にはそういう連中もいるわね」

グレチコ「オスだけが持っているY染色体はX染色体に比べると圧倒的に欠陥があって、X染色体を2本持つメスの方が生命力は強いんだ。だから遺伝子を劣化させない技術があればオスは不要という説は一理ある。遺伝子操作の技術は進んできたからね。オスに何らかの社会的優位性がない場合、生殖にも不要となればオスは自然淘汰されて消滅する可能性すらあるね。そういうメス主導の社会では、特に遺伝子の管理をどうするかというかということが問題になるだろうね」

私「セックスというランダムな遺伝子のまぜあわせを経由しない生殖というのは重い課題ですよ。しかもたとえば暴力に関わる遺伝子、支配欲に関わる遺伝子、差別に関わる遺伝子など、どのような遺伝子を残すか潰すかという議論が無数にでできますね。」

グレチコ「その問題でトラブルになる可能性は大きいね。イスラム教というのはそれが失敗した場合の保険かな」

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2022年5月 7日 (土)

連休

私が連休に行った場所は、ペットショップ、イオン、コンビニ、医院の4ヵ所だけでした。どこも普段より人は少なかったと思います。しかしテレビで見る野球場・江ノ島・鎌倉の混雑はちょっと怖いものがありました。またあの悪夢がぶり返すのか? 来週はちょっと緊張します。

自粛していた人は目だけでも楽しみましょうか? 昔仕事で行ったドイツの写真です。

ミュンヘン空港。着いたのは夜で、空港直結のホテルで一泊しました。従業員がチュースと言って挨拶していたのが、日本語のチヮ-スと似ていて笑ってしまいました。方言的な挨拶のようです。

 

ミュンヘン駅から列車に乗ります。切符を買うときに駅員に「発音が悪い」と言われて3度も言い直しました。それが本当にわからないのではなくて、アジア人に教育的指導を行ってやろうという感じだったのが嫌み。しかし私が直立不動で3度目の発音をしたので、それを評価したらしく、駅員はうなずいて切符を発行しました。

田舎の町で下車したら、目的地へは交通機関がタクシーしかないことがわかりました。

ここが目的地。修道院の宿舎で3泊しました。

版画 銅版画 芝高康造 First Voice 3

仕事(会議)が終わった後、エクスカーションのバスから見たアルプスの山々。ドイツの農村は美しい。本当にきちんと農業をやっている国です。

ノイシュバンシュタイン城。この画角の写真はかなりやばい吊り橋の上からしか撮影できません。

 

 

 

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2022年5月 5日 (木)

おかげさまでブログが17周年となりました

今日はちょっぴり昔話を。

SNSは21世紀になってフェイスブックやツイッターができたことによってはじまったと思っている人が多いと思いますが、実は半世紀前にすでに存在していました。このブログが利用している@ニフティは当時ニフティサーブという名前で存在し、そのメインはフォーラムというまさしくSNSでした。

フォーラムの実態は一昔前の2チャンネルのようなボードと似ていて、同じ趣味を持った人のウェブ上での集いの場でした。現在と一寸違うのはテキストしかアップできないことと、固定電話の回線を使っていたので、つないでいた時間だけ電話代を請求されるということです。チャット機能もありましたが、寝落ちすると莫大な電話代をとられることになります。有料なので広告はなく、荒らしや工作員などももちろんいなくて牧歌的な世界でした。

フォーラムは有志によって管理運営され、ボードに何か書き込むとウェイトレス係の人が「いらっしゃいませ、コーヒーはいかがですか?」などとエアー喫茶風のもてなしを受けるサイトもありました。オフ会も盛んで、それで知り合って結婚する場合も多かったようです。趣味が一致しているわけですから、お見合いよりはよかったのかもしれません。ただ運営方法をめぐって管理者の仲間内でいさかいが起きることもままあったようです。

SNSは社交ですが、ブログはちょっと違っていてある種の文化だと私は思っています。他の会社が次々とブログサービスを廃止する中で、@ニフティが危機を乗り越えて継続してくれているのは有難いことだと思っています。

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2022年5月 4日 (水)

My favorites 8: Carpenters "I need to be in love"

カーペンターズの名曲はたくさんありますが、私的に一番はこの「I need to be in love」です。写真のペストアルバムでは2枚目に収録されています。このアルバムは37年前に出版されたものですから、ずいぶん年月がたちました。

歌詞の意味(私の解釈)は 「世の中はすべて不完全である。なのにどうして私は愛に完全を求めていたのだろう。不完全な愛を容認し、そのなかに飛び込んでいくべきだがそれはなかなか難しい」というようなことでしょう。

シンガーとして世界の頂点を極めたカレンが、たかが少し太っていたからといってダイエットがきっかけで拒食症で死ぬなんて受け入れがたい悲劇ですが、いったん脳に変なスイッチがはいってしまうと、脳は薬でコントロールするのは困難な臓器なのでどうしようもなかったのでしょう。現在でもなかなか治療が難しい難病だそうです。

カバーしている人は多いですが、本人の歌唱はやはり一番です。

https://www.youtube.com/watch?v=EmFiOb0To7w
https://www.youtube.com/watch?v=-60LjZd8Ocs

Oncemores:

https://www.youtube.com/watch?v=50ovGUYfACQ

素晴らしい声で浸れます。ただ英語が日本語っぽいゆるい発音でちょっぴり気になります。

Ai Ninomiya:

https://www.youtube.com/watch?v=W-ssTfBc0i4

すごい実力派のシンガーだと思いますが、こんなに情熱を込めてたっぷり歌い上げられるとちょっと違うんじゃないかと首をかしげたくなります。

峠恵子:

https://www.youtube.com/watch?v=wajljR0yS9Q

なんとリチャード・カーペンターの前で歌うという・・・。フェミニンなベクトルですが、多分この曲のニュアンスをよく理解した歌唱で、リチャードも絶賛しています。

 

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2022年5月 2日 (月)

続・生物学茶話177: 神経幹細胞の源流

ニワトリの発生図はどんな生物学の教科書にも記載してあると思いますが、ここでも教科書(1)を参考にして模式図を描いてみました。トリの場合原溝前端の盛り上がった部分をヘンゼン結節と呼びます。マウスの場合は単に結節(ノード)です。原溝は原条と区別せず原条と表現することもあります。結節より前で頭部形成の準備が行われ、結節部分から後方で脊髄形成の準備が行われます。脊髄形成に先立って結節周辺から体節が形成されます。

図177-1 ニワトリの発生

ニワトリの卵割が盤割であるのに対して、マウスなど哺乳類は等割で初期発生が行われるので、初期胚の形はかなり違うように感じますが、図177-2(参照文献2に基づいて作成)でニワトリの図を上から見て時計回りに90度回転し、さらに正面から見て時計回りに90度回転すると似たような感じになります。頭部を形成するための細胞がまず大量に蓄積し、脊髄などの尾部は後回しになっていることがわかります。ですからこの頃の体は2等身くらいの感じです。

図177-2 マウスおよびニワトリの中枢神経発生

マシスとニコラスは初期胚における幹細胞が、発生が進むにつれてどこに移動し、どのような運命をたどるかを解析するため、伝統的なβガラクトシダーゼとX-galによる青色の発色が偶発的な相同組み換えによって発動するというシステムを考案しました(3、図177-3)。このシステムの利点は遺伝子レベルでの置換なので、細胞を通常の方法でラベルすると増殖することによって「ラベルが希釈されてしだいに判別困難になる」という弱点がないことです。プロモーターとしては神経系細胞特異的に機能するエノラーゼのプロモーターを使用します(図177-3)。

図177-3 相同組み換えで発色させる仕組み

マシスとニコラスはこの方法を用いて中枢神経系をつくる幹細胞の動態を解析しました(4)。彼らの方法の難点のひとつは偶然に頼るということですが、それでも3000個の胚を調べて、163のクローンのデータを得ることができました。そのなかの2つの例を図177-4に示しました。Aのクローンは脳の全域に分布していますが、体幹部には分布がみられませんでした。Bのクローンは脳には見られず体幹部のみにみられました。これは発生初期に中枢神経の中でも脳部分を受け持つ細胞と、脊髄部分を受け持つ細胞が分岐するということを意味しています。

図177-4 神経幹細胞クローンの可視化

163のクローンのすべてについてまとめたデータが図177-5に示してあります(4)。これは彼らのオリジナル図そのものですが、この右下の二等辺三角形領域が空白の奇妙な図を見て、私は最初意味がわからず1時間くらい呆然とみつめていて、あるときやっと意味が理解できました。

まずマウスの中枢神経系を頭から尾まで64等分して、最前部(頭)を1、最後部(尾)を64と番号付けします。たとえば左上に中空きの赤点が集中していますが、その左上隅X=1、Y=64の位置にあるクローンは、64等分した端から端まで広範囲に発色細胞が分布していることを意味します。このクローンは予定中枢神経細胞ができてすぐに発色可能になった幹細胞からできたクローンというわけです。著者はこのようなクローンを very long clone と表現しています。つまり最初から頭部を作る幹細胞と脊髄をつくる幹細胞が別々に生まれるのではなく、最初はどちらにでも移動・分化ができる幹細胞ができるというわけです。

次に中埋めの赤点群がグラフ中央上部にありますが、これらのクローンは X=1~24のいわゆる頭部には発色細胞がみられないタイプのクローンです。つまりこのタイプのクローンをつくる幹細胞は頭部をつくることはなく、脊髄をつくることを運命づけられた後の幹細胞であると言えます。逆に左下の黄色い部分のクローンは脳をつくることを運命づけられた後の幹細胞がつくったクローンです。空白部分との境界線である斜め45度のライン上のクローンは狭い領域に限定されたクローン(short clone)で、移動または細胞分裂終了間近で発色可能となったと考えられます。水色の領域のクローンはすべて脊髄を構成する細胞です。

ここでひとつ注目すべきは、斜めのはしごで示された領域の大部分がクローンがほとんどみられないことです。これは何を意味するのでしょうか? 著者が言う long clone と short clone の中間のいわば middle clone が極めて少ないということは、発生のある時点で急激に幹細胞の移動が制限される(25をまたいだ移動は困難)と考えれば理解できます。特に脳の方向に移動した細胞は体前部、尾の方向に移動した細胞は体後部のみで移動・増殖をおこなうようになることが示されています。

図177-5 予定中枢神経幹細胞クローンの分散性の検証

マシスとニコラスは図177-5にみられるクローンの動向を解析し、頭部に展開する幹細胞と尾部に展開する幹細胞の分岐は胎生6.5日目前後に起きるものと推定しています(図177-6 参照文献4にもとづいて作成)。胎生8日目くらいにはそれぞれの幹細胞は移動先に定着して増殖・分化をおこない、中枢神経系の構築に中心的役割を果たすものと思われます。

図177-6 神経幹細胞の胎生時の動向

 

参照

1)Scott F. Gilbert 「Developmental Biology」7th edition, Sinauer Associates, Inc., Publishers, Sunderland, Massachusettd, 2003

2)Ben Steventon, Alfonso Martinez Arias, Evo-engineering and the cellular and molecular origins of the vertebrate spinal cord., Developmental Biology vol.432, pp.3-13 (2017)
http://dx.doi.org/10.1016/j.ydbio.2017.01.021

3)Luc Mathis and Jean-Francois Nicolas, Autonomous Cell Labeling Using a laacZ Reporter
Transgene to Produce Genetic Mosaics During Development., A. Cid-Arregui et al. (eds.), Microinjection and Transgenesis, Springer-Verlag Berlin Heidelberg 1998
https://rd.springer.com/chapter/10.1007/978-3-642-80343-7_24

4)Luc Mathis and Jean-Francois Nicolas, Different clonal dispersion in the rostral and caudal mouse central nervous system., Development vol.127, pp.1277-1290 (2000)
https://journals.biologists.com/dev/article/127/6/1277/41116/Different-clonal-dispersion-in-the-rostral-and

 

 

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2022年4月30日 (土)

クレア・フアンチが来日するそうです

クレア・フアンチは中国系米国人のピアニストです。新型コロナ蔓延まではドイツや米国の田舎町を中心に大変活発にコンサートを開催していました。日本でも何度かリサイタルをやっていて、私もコロナ前に一度聴きに行って大変素晴らしいピアニストだと感動した記憶があります。

今年コロナ後初めて来日し、神奈川フィルとコンチェルトをやるというチラシを見て、これはリサイタルもやるだろうと探索したら、なんとディープ千葉の多古町でやるというのでびっくり(しかも初めてじゃないそうです)。横浜まで出かけるのは遠くてきついのですが千葉ならどうか調べてみました。北総から千葉県中心部へ行くのは結構大変なのです。成田市へは成田湯川駅で降りてバスで行かなければいけませんし、千葉市へは成田または成田空港から鉄道移動です。

下記の多古町サイトに電話をかけてみると、まだ空席は十分あるそうです。できればチケットを買いに多古町まで来て欲しいそうですが、遠くの場合は取り置きもするとのことでした。

さてどうやって行くかという方法ですが、電車が通っていない町らしく、東京方面からだと、どうも成田国際空港第2ターミナルの1F到着ロビー13番停留所からシャトルバスに乗るのがベストのようです。

多古町コミュニティプラザ文化ホール 公式サイト
https://www.town.tako.chiba.jp/category/bunya/kanko/bunka/

TEL:0479-76-7811 (月曜と祝日はお休みだそうです)

こくちーずスペース
多古町コミュニティプラザ・文化ホール
こちら

クレア・フアンチのHP:
https://clairehuangci.com/en/

ヤマハ ピアニストラウンジ
https://jp.yamaha.com/sp/pianist-lounge/interview/claire-huangci/p3/

 

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2022年4月28日 (木)

大野-都響 マーラー交響曲第5番@東京芸術劇場2022/04/28

午後からとても気持ちの良い天気となりました。都響も4月からいよいよ新型コロナモードを脱して通常モードに突入しました。定期会員も復活して、いつもの指定席となりました。ほとんど満席に近い盛況です。指揮者のすぐ後ろの最前列に陣取る4つ足ステッキの方や、犬連れの恐めのおじさんなどの昔の常連さん達も復活して、いつもの都響演奏会の景色です。連休が終わって何事もなければ、新型コロナ騒ぎもようやく終焉を迎えそうです。

今日の指揮は大野音楽監督、コンマスはボス矢部、サイドはゆづきです。開始前にハーピストの吉野さんが入念にチェックしていました。もうひとつめずらしかったのは、鷹栖さんが開始前にステージに出てきていたことです。初めてじゃないかな。

前半は都響の広田さんがソリストを務めるR・シュトラウスのオーボエコンチェルト。広田さんの楽器がとてもやわらかくきこえました。素晴らしい作品だとは思いますが、全く感情移入ができない曲でこれは予想通りでした。

後半のマーラー交響曲第5番は、最初の部分で trp がずっこけてどうなるかと思ったのですが、以降は立ち直って大丈夫。西條さんのホルンが絶好調で曲を盛り上げました。終わったときに大野さんがいの一番に指名して立たせていたくらいです(これは本日のゲストである吉野さんを差し置いてのことでびっくりしました)。

前回の第3番のときにエキストラと間違えたトロンボーンの新人高瀬さんの音が素晴らしく、都響の音響をあきらかに前進させました。素晴らしい。マエストロ大野のタクトは繊細で丁寧、迫力も十分で文句のつけようがないのですが、なぜかソディやアランの時のような湧き上がる感動がないのが不思議。これはなぜなのだろう。大脳皮質の音楽だからでしょうか? 

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2022年4月27日 (水)

サラの考察4: 爪

私「サラが寝ぼけてるうちに爪をカットしようかな」

サラ「だめよ。爪は人間よりも猫にとって特別に大事なものなのよ。人間に切られるのは本当に不愉快」

私「まあそう言わずに切らせてくれよ。爪が伸びると壁や家具が傷だらけになっちゃうし、私の足も傷だらけだよ」

サラ「爪って生きてるのかしら」

私「毛と同じで生きてるとも死んでるとも言えるね。大雑把に言えばケラチンというタンパク質が無数の結合でつながって塊になったようなものだよ」

サラ「でも毛と爪はちがうわね」

私「ケラチンは数十種類以上あって、それぞれ違うんだよ。皮膚の細胞はケラチンでいっぱいになると垢になって落ちてしまうんだが、爪や毛はそう簡単には落ちないんだよね。毛は抜けたりするけどね。実は私は爪も生え替わったことがあるんだけどね(1)。ま、それはそれとして、そんなことで美容室や理容室やネイルサロンも成り立っているわけよ。さあさあ、君とバトルして爪を切らないとね」

猫の爪切りと人の爪切り

この猫壱の爪切りは気持ちの良い切れ味で、私のお気に入り。

1)http://morph.way-nifty.com/grey/2019/10/post-19e9fe.html

 

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2022年4月25日 (月)

My favorites 7: 「愛が消えないように」 by まきちゃんぐ

新型コロナはとりあえずオミクロン株になって一息つきました(これからどうなるか不安ではありますが)。

鬱々とした日々の中で、ひとすじの光明を与えてくれたのがこの歌です。

まきちゃんぐさんの「愛が消えないように」
https://www.youtube.com/watch?v=-PJlrmWwOiw

彼女は新型コロナ蔓延のあいだだけファンクラブをやっていて、自宅からライブの配信などやっていました。この4月でとりあえず終了しますが、これからは普通の活動になるそうです。むしろ残念!

もう一曲 これは代表作「愛の雫」
https://www.youtube.com/watch?v=MVoqMgESftU

 

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2022年4月23日 (土)

My favorites 6: Sailor gel 0.38mm

このボールペンの描きやすさは自分史上一番です。ボールペンのような書き心地ではありません。
さらさらと流れるような感じで、安定した筆跡でくっきりきれいに書けます。

メーカーのサイトは
https://sailor.co.jp/product/81-5121/

正式名称は ICリキッドボールペン0.38mmというらしいです。
定価132円

ひとつ心配なことが書いてありました。
「在庫がなくなり次第販売終了」 
あれ、限定販売なのか? どうして?
看板製品になっても不思議じゃないと思いますが???

モニターの字やプリンターの字は万人の字ですが、自分で書いた字は自分のものです。

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2022年4月20日 (水)

サラの考察3:ゼレンスキー

私「ウクライナが大変だ」

サラ「人間は困った生き物よ。草食動物はわりとテリトリーを決めないんだけど、サルは決めるのよ。人間もその血をひいているのね。私たちは肉食動物だけど、みつけた獲物に食いつくだけで、テリトリーを死守しようなんてことはしないわね」

私「それにしても、どうしてゼレンスキーはあんなに頑ななんだろう。このままいくとウクライナ人が絶滅してしまうかもしれない」

グレチコ「ゼレンスキーは日本を見習えばいいんだよね。日本には治外法権の米軍基地がたくさんあるし、米軍が支配する広大な空域もある。月2回日米合同委員会という秘密会が開かれて、日本政府に米国が指示を出しているようだし。ゼレンスキーは最初から、NATOには加わらない、ロシアと軍事同盟を結ぶという条件で交渉すれば何事もなかったのに。多分日本よりもゆるい属国化で済んだと思うけどね」

私「今となってはゼレンスキーがやめない限り、ウクライナの平和はないようだ」

 

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2022年4月18日 (月)

続・生物学茶話176: Prdmファミリー

DNAはタンパク質の情報を記述した辞書であり、どの情報をいつ発現させるかという統合されたシステムが生命の本質です。このシステムのひとつの根幹は、DNAという辞書に状況によってあるいはタイミングによって読める部分と読めない部分をつくるという作業であり、そのためにはDNAを包装するタンパク質を部分的にはがす機構が重要となります。どうやってはがすかというと、それは包装タンパク質を化学修飾して構造を変化させるというメカニズムによります。ひとつの卵から生命体ができあがっていく過程では、必要なタンパク質は時間によって変化するので、はがした包装を埋め戻すという作業も必要になります。

塩基性タンパク質であるヒストンに多く含まれるリジンやアルギニンのメチル化はそのひとつのメカニズムです。まずその化学変化を復習しておきましょう(1)。アルギニンのメチル化はPRMT(Protein Arginine N-methyl transferase)ファミリーの酵素によって行われ、反応産物は図176-1に示した3種類となります。リジンのメチル化はやはり反応産物が3種類となりますが、アルギニンの場合より単純で、側鎖のアミノ基にひとつメチル基がつくとMe1、2つがMe2、3つがMe3と表現されます(図176-1)。この反応を触媒する酵素はSETファミリー(Protein Lysine N-methyl transferase)と呼ばれます。酵素活性に必須なSETドメインがショウジョウバエの3つのタンパク質 Su(var )3-9、Enhancer of zes t (EZ)、Tri thorax(TRX) でみつかったことから、それぞれの頭文字をとってSETという名前になりました。

図176-1 アルギニン、リジンのメチル化

Protein Lysine N-methyl transferase (Histone methyl transferase) の反応基質はSアデノシルメチオニンとヒストンN末のいくつかのリジン残基です(2、図176-2)。ヒストンをメチル化する酵素があるのだから、これが転写の調節をやっているのなら当然メチル基をはずす酵素もあるはずです。しかしヒストンの脱メチル化酵素については、21世紀になってようやくその存在が確実になりました(3、4)。ここでは2編しか引用していませんが、2007年に一気に10報くらい論文が出版されたそうです。

図176-2 リジンメチル化の基質

SETドメインを持つタンパク質は真核生物にはユニバーサルに存在しますが、遺伝子の調査によって細菌や古細菌にも存在することが明らかになっています(5、6)。このなかにはもちろん真核生物に感染したり、共生したりする関係でヒストンの修飾を行なう場合も含まれていると思われますが、少なくとも古細菌の場合には真核生物のタンパク質の祖先型の存在が示唆されています(7)。

ダントン・イワノチコはSETファミリータンパク質の分子系統樹を作成しました(8、図176-3)。この図で黄色の枝のタンパク質群は細菌・古細菌・真核生物にいずれにも存在しますが、青色の枝のタンパク質群は真核生物のなかでもメタゾア(いわゆる動物)にしか存在しないという特徴をもっています。したがって当然メタゾアにしかない形態形成や生理機能の維持に関与していると思われます。

この青色グループの分子群はPrdmファミリーと呼ばれ、SETドメインと相同なアミノ酸配列を含むPR(PRDI-BF1 and RIZ)ドメインを持つタンパク質です。相同と言っても配列ホモロジーが20%台のものもありますが、そのような場合であっても図176-3のようにSETファミリーとPrdmファミリーに属する当該分子の3次元構造は類似しているようです(7)。

図176-3 SET/PRDMファミリーの分子系統樹と構造比較

PrdmファミリーはSETファミリーから派生したグループですが、特徴的なのはこのグループの分子種のほとんど(Prdm 11 以外)がZnフィンガーをもっていることです(9-11)。Prdmタンパク質のなかにはリジンのメチル化を介して機能するものもありますが、むしろZnフィンガーなど他のDNAやタンパク質と結合するドメインを介して転写制御をしている場合が多いようです(12)。木滑(きなめり)らはPrdmファミリー各タンパク質のZnフィンガードメインの位置を一覧表にして供覧しています(13、図176-4)。彼らが表題でプロトオンコジーンと言っているのは、この遺伝子の変異によって癌が発生する場合があるからです。増殖や分化に関係している遺伝子なのでそれは普通のことです。アステリスクがついている分子は主として神経組織に存在するもので、このグループが神経の発生・分化・機能発現に深く関わっていることを示しています。

図176-4のリストには Prdm 7 に関する情報がありませんが、後の報告により Prdm 7 はアイソフォームAとBがあり、AはZnフィンガーを含まずBは4つ含むこと、このタンパク質はH3K4(ヒストンH3のN末から4番目のリジン)をメチル化することなどが明らかになっています(14)。FOGは血液細胞の分化にかかわる因子でPrdmファミリーのメンバーであることが知られていますが、イワノチコの論文ではPrdmのナンバーがつけられていないので別扱いなのかもしれません(7)。

図176-4 Prdmファミリータンパク質の構造

Prdmファミリ-はSETファミリーから派生したとはいえ、その歴史は古く海綿動物や平板動物にも存在することが知られています(10、図176-5)。これらの動物は神経を持たないので、神経の発生や維持のためにこのファミリーが生まれたわけではありません。酵母やカビには存在しないとされています。脊索動物は一般に十数種類のPrdmファミリーを持っていますが、例外的に尾索動物(ホヤなど)では数が少なくなっています。尾索動物は脳を持たないので、脳形成や維持に関連したこのファミリーの遺伝子が消失したものと思われます。

図176-5 各動物門および脊索動物門の種におけるPrdm遺伝子の数

コアヒストンと呼ばれるヒストンH2A・H2B・H3・H4はヌクレオソームを構成しますが、H3のN末はヌクレオソームの内部に収納されないで外部に出ているので、転写制御の主たるターゲットとして使われています。この部分に様々な化学修飾が行われますが、図176-6ではSETおよびPrdmファミリーによるメチル化部位を示してあります(文献15を参照して作成)。ここで示されていないPrdmファミリーの因子は、ヒストンメチル化活性を失っているか、まだ知られていないと推測できます。Me1、2、3というのは図176-1で示したメチル基をいくつ転移するかという標識です。Prdmファミリーの酵素はH3以外のヒストンをメチル化することはできないようです。

図176-6 SET/PRDMファミリーの酵素によって直接メチル化されるヒストンのリジン残基

Prdm の機能や作用機構については多くの研究が行われていますが、私的に興味をひかれた仕事をひとつ紹介します。江口りえこ氏はPrdm遺伝子群の発現をアフリカツメガエル初期胚で観察し報告しています(16、17)。カエルの卵は哺乳類と違って体外で発生しますしサイズも大きいので、このような研究目的に適しています。普通カエルは池と陸地が必要なのですが、このカエルは一生水の中で生活するので水槽で飼えるというのが大きなメリットです。研究室内に池と陸地をつくって実験動物のカエルを飼うというのは困難です。しかしデメリットもあります。このカエルのゲノムは近い過去に2種類のカエルが交配して全ゲノム重複が起きたという、4倍体とも言えるような特殊な構成なので、ポピュラーな実験動物なのに全ゲノム解析が2016年までかかったという変わり種ではあります。

江口らによれば、まず初期発生過程におけるそれぞれのPrdm遺伝子の発現を半定量PCR法で測定したところ、「Prdm 1, 2, 4, 9 は発生初期から一定に発現し、Prdm 3, 11, 13, 16 は発生が進むにつれ発現量が増加していた。さらに、Prdm 1, 2, 4, 9, 11, 15 は Stage 6-7 の胞胚期から発現していたため、母性由来の mRNA の存在が示唆された」(16)という結果となりました。さらにフォールマウント in situ hybridization 法によって各Prdm遺伝子の発現を調べた結果、図176-7ABC のような結果になりました。この図は私が勝手に一部を抽出したものであり、不適切である可能性があります。正確な情報を得たい方は是非文献16および17をご覧になることをお勧めします。

図176-7ABC アフリカツメガエル発生過程におけるPrdm遺伝子の発現

全体的に脊索・脊髄・頭部のに発現している場合が多いようですが、Prdm 3,12 のように腎臓領域に発現するもの、Prdm 3, 4, 10 のように鰓に発現するもの、Prdm 16 のように臭板や咽頭囊に特異的に発現するもの、Prdm 12, 13 のように初期発生時に神経堤に発現するものなどバラエティーもあります。全体的に神経堤細胞に起源をもつ組織や神経系の細胞に発現しているように見受けられました。

参照

1)ウィキペディア:メチル化
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%83%81%E3%83%AB%E5%8C%96

2)Wikipedia: Methyltransferase
https://en.wikipedia.org/wiki/Methyltransferase

3)束田裕一 ヒストンのメチル化と脱メチル化 ―脱メチル化を中心に―
生化学 vol.79, no.7 pp.691-697 (2007)
https://www.jbsoc.or.jp/seika/wp-content/uploads/2018/12/79-07-09.pdf

4)Shun-ichiro Kageyama,Hiroki Sonehara,Masao Nagata and Fugaku Aoki, Expression of Histone Methylases and Demethylases during Preimplantation Development in Mice., J. Mamm. Ova Res.Vol.24,pp.126-131 (2007) DOI: 10.1274/jmor.24.126
https://www.researchgate.net/publication/232686018_Expression_of_Histone_Methylases_and_Demethylases_during_Preimplantation_Development_in_Mice

5)Raúl Alvarez Venegas, Bacterial SET domain proteins and their role in eukaryotic chromatin modification., Frontiers in genetics, vol.5, article 65. (2014)
doi: 10.3389/fgene.2014.00065

6)Karishma L. Manzur, Ming-Ming Zhou, An archaeal SET domain protein exhibits distinct lysine methyltransferase activity towards DNA-associated protein MC1-a., FEBS Letters vol.579, pp.3859–3865 (2005)
https://ur.booksc.me/book/16783560/2b3556

7)Danton Ivanochko, Structural and Functional Elucidation of PRDM Proteins., Ph.D thesis, Department of Medical Biophysics, University of Toronto, (2021)
https://tspace.library.utoronto.ca/bitstream/1807/105025/4/Ivanochko_Danton_202103_PhD_thesis.pdf

8)Yanling Niu, Yisui Xia, Sishuo Wang, Jiani Li, Caoyuan Niu, Xiao Li, Yuehui Zhao, Huiyang Xiong, Zhen Li, Huiqiang Lou, and Qinhong Cao, A Prototypic Lysine Methyltransferase 4 from Archaea with Degenerate Sequence Specificity Methylates Chromatin Proteins Sul7d and Cren7 in Different Patterns., J. Biol. Chem., vol. 288, no. 19, pp.13728–13740, (2013)
DOI 10.1074/jbc.M113.452979
https://www.researchgate.net/publication/236081740_A_Prototypic_Lysine_Methyltransferase_4_from_Archaea_with_Degenerate_Sequence_Specificity_Methylates_Chromatin_Proteins_Sul7d_and_Cren7_in_Different_Patterns

9)Irene Fumasoni, Natalia Meani, Davide Rambaldi, Gaia Scafetta, Myriam Alcalay and Francesca D Ciccarelli, Family expansion and gene rearrangements contributed to the
functional specialization of PRDM genes in vertebrates., BMC Evolutionary Biology, vol.7:187 (2007) doi:10.1186/1471-2148-7-187
http://www.biomedcentral.com/1471-2148/7/187

10)Michel Vervoort, David Meulemeester, Julien Be´hague, and Pierre Kerner, Evolution of Prdm Genes in Animals: Insights from Comparative Genomics., Mol. Biol. Evol. vol.33(3): pp.679–696 (2015) doi:10.1093/molbev/msv260
https://www.researchgate.net/publication/283729937_Evolution_of_Prdm_Genes_in_Animals_Insights_from_Comparative_Genomics

11)Emi Kinameri, Takashi Inoue, Jun Aruga, Itaru Imayoshi, Ryoichiro Kageyama, Tomomi Shimogori, Adrian W. Moore, Prdm Proto-Oncogene Transcription Factor Family Expression and Interaction with the Notch-Hes Pathway in Mouse Neurogenesis., PLoS ONE, vol.3, issue 12, e3859 (2008) DOI:10.1371/journal.pone.0003859
https://www.semanticscholar.org/paper/Prdm-Proto-Oncogene-Transcription-Factor-Family-and-Kinameri-Inoue/a627bb67e7dd4bfc5e8c80d139fe124ee1e96f9f

12)Erika Di Zazzo, Caterina De Rosa, Ciro Abbondanza and Bruno Moncharmont, PRDM Proteins: Molecular Mechanisms in Signal Transduction and Transcriptional Regulation., Biology vol.2, pp.07-141, (2013) doi:10.3390/biology2010107

13)Emi Kinameri, Takashi Inoue, Jun Aruga, Itaru Imayoshi, Ryoichiro Kageyama, Tomomi Shimogori, Adrian W. Moore, Prdm Proto-Oncogene Transcription Factor Family Expression and Interaction with the Notch-Hes Pathway in Mouse Neurogenesis., PLoS ONE vol.3, issue 12, e3859 (2008) DOI:10.1371/journal.pone.0003859
https://www.semanticscholar.org/paper/Prdm-Proto-Oncogene-Transcription-Factor-Family-and-Kinameri-Inoue/a627bb67e7dd4bfc5e8c80d139fe124ee1e96f9f

14)Levi L. Blazer, Evelyne Lima-Fernandes, Elisa Gibson, Mohammad S. Eram, Peter Loppnau, Cheryl H. Arrowsmith, Matthieu Schapira, and Masoud Vedadi, R Domain-containing Protein 7 (PRDM7) Is a Histone 3 Lysine 4 Trimethyltransferase., J Biol Chem., vol.291(26): pp.13509–13519. (2016) doi: 10.1074/jbc.M116.721472
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4919437/

15)Cell Signaling Technology, Epigenetic Writers and Erasers of Histone H3. (2018)
https://www.cellsignal.jp/pathways/epigenetic-histone-h3-pathway

16)江口りえこ 学位論文「動物発生過程におけるPrdm遺伝子群の発現と機能に関する研究」
九州大学学術情報リポジトリ (2015)
https://catalog.lib.kyushu-u.ac.jp/opac_download_md/1500526/sls0139.pdf

17)Eguchi R, Yoshigai E, Koga T, Kuhara S, Tashiro K., Spatiotemporal expression of Prdm genes during Xenopus development., Cytotechnology., vol.67(4): pp.711-719. (2015)
doi: 10.1007/s10616-015-9846-0.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25690332/



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2022年4月14日 (木)

My favorites 5: A Whiter Shade of Pale(青い影): プロコルハルム

今年の2月にプロコルハルムを率いていたゲイリー・ブロッカーが亡くなりました。私が子供の頃のみんなの楽しみは、近隣の山野を冒険して歩くことやラジオのヒットチャートを聴くことでした。ファミコンやウォークマンもない時代です。プロコルハルムはこの A Whiter Shade of Pale(青い影)によって英米欧そして日本のヒットチャートの頂上まで駆け上がりました。

オルガンをフィーチャーしたポップスなんて聴いたことがなかったので、実に新鮮な感動がありました。ただ歌詞はなんの意味だか全然わかりませんでした。今聴いてみると、いままで信じていたものが崩壊していくような喪失感に襲われるという感じがします。ユーミンはこの曲を聴いて感動し音楽家になろうと思ったそうで、それだけ人の心の深部に影響を与える音楽だったのかもしれません。

エミリー・リンジはピアノの弾き語りというシンプルなパフォーマンスで、この音楽の持っているメッセージを聴く者にきちんと届けていると思います。3月3日にアップして、早くも175万のビューです。私がこの記事を書いてみようと思ったきっかけです。

そしてプロコルハルムのオフィシャルビデオを見て驚愕しました。オフィシャルビデオに戦争のフィルムが挿入されているではありませんか。これは反戦歌だったのでしょうか? 現在ではPVは普通に制作され容易に見ることができますが、当時このオフィシャルビデオを見るチャンスはほぼなかったと思います。

この曲が出版された1967年当時はベトナム戦争が激しさを増していた時代で、結局この戦争によって400万~500万人の死者が出ました。現在米国はプーチンを虐殺者と避難していますが、いったいどの口がそんなことを言っているのかあきれます。ドイツではすべての主要都市を絨毯爆撃で灰にし、日本には原爆まで落としましたし、沖縄では洞窟に逃げ込んだ市民を火炎放射器で焼き殺すというのが米国の戦争のやり方です。ベトナムで枯れ葉剤という化学兵器をもちいて多くの奇形児が生まれました。その後も世界各地で数限りない戦争と虐殺を繰り返した米国こそ虐殺者です。もちろん太平洋戦争をはじめたのは日本ですし、帝国陸軍も中国では暴虐の限りをつくしました。日本もプーチンを虐殺者と呼べる資格はありません。せめてできるのはウクライナ人の避難民を受け入れることくらいでしょう。

Emily Linge
https://www.youtube.com/watch?v=_GwpWATKsMU

Procol Harum (1968)
https://www.youtube.com/watch?v=F6AaRtQFn5Y

Procol Harum (1997)
https://www.youtube.com/watch?v=iDioqrKEbEA

Procol Harum (2006)
https://www.youtube.com/watch?v=St6jyEFe5WM

Procol Harum (Official Video)
https://www.youtube.com/watch?v=z0vCwGUZe1I

日本語訳を試みた人がいます
https://ameblo.jp/kagegisu-the-writer/entry-12284966072.html

Annie Lennox
https://www.youtube.com/watch?v=VZqPoriYXho

写真はウィキペディアより

 

 

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2022年4月10日 (日)

ソディ-都響 マーラー交響曲第3番@東京文化会館2022年4月10日

雲ひとつない快晴の日曜日。京成上野駅で降りてガード下のTOWAで昼食。この店は狭い階段を2Fに上がっていくめだたない蕎麦屋なのですが、午後1時30分頃でも大盛況で階段に並びました。飲食も活気がもどってきたんですね。そういえば桜は終わっていましたが、周辺も結構混雑していました。オミクロンは重症化率が低いということをみなさん承知でこうなったのでしょう。

今日の都響はマーラーの交響曲第3番で前からとても楽しみにしていました。指揮者はアレクサンダー・ソディ、コンマスは山本さん(さすが晴れ男)、サイドはマキロンです。特筆すべきはホルンとトロンボーンのファースト奏者(エキストラ)で、演奏に特段の深みがありました。このくらいのレベルの奏者が団員になってこそ、都響は世界でもS級のオケと言えるのではないでしょうか。

ソディはとても丁寧で細部もきっちりまとめていくという、カリスマとは正反対の職人的指揮者だと思います。それでも第6楽章ではむしろ弦楽奏者の感性を信じてまかせていたようなところもあり、素晴らしいニュアンスとハーモニーで都響ならではの味わいがあって、この演奏は一期一会の名演で絶賛したいと思います。

マーラー交響曲第3番 第6楽章 
精神に強制的にやすらぎを与えてくれるような音楽はありそうでなかなかないのです

https://www.youtube.com/watch?v=M622tyRUYKg

 

 

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